Red Hat、「Red Hat Enterprise Linux 9.5」の一般提供を開始
米Red Hatは現地時間13日、エンタープライズLinuxプラットフォーム「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の最新版となるある「Red Hat Enterprise Linux 9.5(RHEL 9.5)」の一般提供を発表した。 Red Hatでは、RHEL 9.5 は、人工知能(AI)からエッジコンピューティングに至るまで、急速なITイノベーションを支えるOSにさらなる一貫性をもたらし、より多くの組織がこうした急速な進化を利用できるような強化機能を提供するとしている。 RHELのシステムロールは、RHELサブスクリプションのRed Hat Ansible Contentのコレクションで、日常的な管理タスクを自動化し、組織が規模に応じてより一貫した構成やワークフローを提供できるようにサポートする。 RHEL 9.5には、Linuxのコマンドラインユーティリティであるsudoの新しいロールを含む、複数の新しいシステムロールが追加されており、規模に応じてsudoの構成を自動化する。これにより、日常的なユーザーは、適切なガードレールを使用してルールを管理しながら、通常は管理者だけが使えるコマンドを実行できるようになる。権限が昇格したユーざーは、自動化を利用して、より一貫性をもって環境全体で安全にsudo構成を実装でき、組織全体でビジネスの複雑さを軽減できるとしている。 また、コンフィデンシャルコンピューティングのプラットフォームサポートが強化されたことで、AIワークロードのデータ保護が可能になり、内部脅威の攻撃対象領域が減少する。コンフィデンシャルコンピューティングにより、潜在的な脅威による機密データの閲覧や改ざんを防止することで、企業はデータのセグメンテーションを維持し、データコンプライアンス規制を順守しながら、大量のデータのレビューにAIをより安全に使用する機会を増やせる。 新たにリリースされたRed Hat Satellite 6.16では、機能性、効率性、セキュリティ、互換性を向上させるアップデートが導入された。Satellite 6.16は、RHEL 9へのSatellite Serverとカプセルのインストールをサポートし、コンプライアンス機能を強化しながらオペレーティングシステムの互換性を広げた。また、個々のコンテンツビューをカプセルに同期することで、時間、ストレージ、帯域幅を節約する。これにより、コンテンツビューのフットプリントと、Satelliteとカプセル間のトラフィックが削減される。Satellite 6.16では、コンテナに依存するワークフローをサポートするコンテナプッシュ機能も追加され、ブートコンテナをローカルに安全に保存できるようになった。 イメージビルダーでは、セキュリティテストと脆弱性修正を開発プロセスの早い段階で統合する「シフトレフト」アプローチを継続し、あらかじめハードニングしたイメージ構成を提供することで、時間の節約とセキュリティの向上を実現する。セキュリティの専門家にならずとも、イメージビルダーがこうしたビルトイン機能のメリットをユーザーに提供するため、ユーザーはビジネスゴールの達成に集中できるとしている。 RHEL管理ツールは引き続きシステム管理を簡素化し、組織が手動タスクを自動化し、規模に応じてデプロイを標準化し、システムの複雑さを軽減できるようにする。 また、RHEL 9.5ではウェブコンソールに新しいファイル管理機能が追加され、ユーザーはファイルシステムのブラウズ、ファイルのアップロードとダウンロード、パーミッションの変更、ディレクトリの作成など、コマンドラインを使用せずに日常的なファイル管理タスクを実行できるようになった。 RHEL 9.5では、オープンソースコンテナエンジンの最新バージョンであるPodman 5.0を搭載し、これをフルサポートすることで、プラットフォームレベルでコンテナネイティブのイノベーションを促進するという、Red Hatのコミットメントを継続していると説明。Podmanは、Linux環境でコンテナを構築、管理、実行するためのオープンソースツールを開発者に提供する。このメジャーリリースでは、Podmanファームビルドが導入され、開発者はシングルコマンドでリモートマシン上にマルチプラットフォームイメージを迅速に構築できるため、組織はさまざまなプラットフォームでアプリケーションを効率的にテストおよびデプロイし、開発時間の短縮や移植性の向上を図れるとしている。 Red Hat Enterprise Linux 9.5のアプリケーションストリームは、最新のキュレーション済み開発者ツール、言語、データベースを提供する。RHEL 9.5には、PostgreSQLのPG Vector、新バージョンのnode.js、GCC ツールセット、Rust ツールセット、LLVM ツールセットが含まれる。 また、Java Dev Kit(JDK)11は、RHEL 9でのメンテナンスが終了した。Red Hatは これを使用している顧客のサポートを継続し、パッケージは今後も利用可能としている。新しいデフォルトのJDK 17は、最新のJavaアプリケーションを構築・管理するための新機能とツールを提供する一方で、後方互換性を維持することでJDKのアップグレードとアプリケーションやユーザーの一貫性を保つ。 RHEL 9.5とRed Hat Satellite 6.16は現在、一般提供されている。
クラウド Watch,三柳 英樹