「外国人観光客のせいでホテルの料金が高くなってる!」 SNSに飛び交うインバウンド批判がお門違いな理由
貧乏であることを認めるべき
それは経済格差の面で仕方がない話だし、だからといって「外国人は来るな!」といった排外主義に染まるのはいけないことだ。誰もが来られるような状況こそ人権を意識した話である故に、「外国人が多過ぎる!」とキレる以前に、我々は賃金と物価を上げることに尽力すべきである。 そして、それができないのであれば、プライドをかなぐり捨て「二重価格」の導入が必要となるだろう。世界の観光地では、外国人に対してはそれなりのカネを取るが、自国民は無料で入れたりする。それを導入すべきなのである。 飲食店やホテルにしても、「観光税」といった形で裕福な外国人に対しては追加の料金を取ることを決めた方がいい。それぐらい日本人はもはや貧乏人だらけなのだ。そして、外国人が「日本は安くてサービスもいいし、すべてのクオリティが高い!」とネット上で絶賛のコメントを書く。 これを屈辱と捉えるのではなく、「だったら裕福なあなた方からはたくさんもらいますよー!」といった方向に舵を切ればいい。「外国人は来るな!」などと差別的なことを述べるよりも、「我々は貧乏なので、あなた方裕福な人が沢山お金を払ってくださいね!」となればいいのである。いつまで先進国ぶって二重価格を導入しないのだ。 タイの寺院では外国人は1200円ほどを払うが、タイ人はタダである。日本人は貧乏であることを認めない限り、妙な差別主義が蔓延するばかりである。 中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) 1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。 デイリー新潮編集部
新潮社