養護・軽費ホーム運営費の改定進まず 参院議員の会、国財源に戻す意見も
「地域の介護と福祉を考える参議院議員の会」(末松信介会長)が3日に開かれた。約60人の議員が参加し、養護老人ホームと軽費老人ホームについて自治体による運営費(措置費)の改定が進まず、十分な補助がないため建て替えもできない課題を共有した。以前のように国が運営費の財源を措置する仕組みに戻すべきといった意見も出た。 両ホームの運営費の財源は2006年の三位一体改革により地方交付税に移譲し、各自治体が地域の実情を勘案して改定することになった。地方交付税で100%財政措置され、しかも06年から23年の18年間で1・38倍増額されているが(養護老人ホームの場合)、こうしたことを自治体の財政、福祉担当者が知らないため運営費が改定されず、誤認識による「措置控え」(予算抑制のため入所者を回さない)も起き、両ホームの運営は苦境に立たされている。 ただ、厚生労働省などが運営費の改定を促す通知を数回出したことで、奈良県御所市など改定する自治体も出てきた。茨城県那珂市も、社会福祉法人ナザレ園が市に繰り返し説明や要望をして理解を求め、改定が決まったが、1年もかかった。菊池譲副理事長は「協議は厳しく、1法人で対応するのは難しい」と訴えた。 両ホームの課題を理解し、ナザレ園と那珂市の協議にも出席した上月良祐議員(自民党)は「協議は本当に大変。これを全国の市町村、養護老人ホームごとにはできない」と話した。また、6日の参院予算委員会でも言及し、「養護老人ホームにかかるソフト、ハードの財政措置は国庫補助負担金に戻すべきだ」と発言。答弁した村上誠一郎総務大臣は「適切に地方財政措置を講じるとともに自治体への周知を徹底する」と述べた。 参院議員の会は、全国軽費老人ホーム協議会の荒川透理事長からも、同ホームの運営費がほとんど増額されていないことについて説明を受け、引き続き両ホームの課題を取り上げていくことになった。