パロディ菓子の発想は大阪の立ち飲み店で? オリオン「駄菓子」への思い
パロディ作って怒られたり、自然な相乗効果生まれたことも
これまでに数え切れない菓子商品を作ってきた同社だが、一つ気になるのはパロディ菓子を出された方の反応だ。高岡さんにそれを聞くと「まぁ、怒られることも...ありますね」と苦笑する。 しかし、プラスに考えれば、パロディを出された側にとっては、その菓子が売れたりすれば「相乗効果」を期待できることもあり、その商品のオマケに同社の菓子をつける企業も自然と現れたという。 例えば1990年代に各カメラメーカーから発売された使いきりカメラを制作。すると、同社ではそれらを模したカメラ型のラムネ菓子を作ったが、緑色のパッケージを使った「食べルンです」という商品がいちばん売れていた。 後にその理由を調べると、その商品のモデルとなったメーカーが、フィルムなどの商品を購入した際、客へのオマケとして同商品をつけてくれたことなどが要因だった。自然にコラボが成り立っていたわけで、高岡さんも「本当にありがたいことです」と振り返る。
商品の発想は立ち飲み屋 周りの客が思いつくことも
だが、こうしたパロディ商品はどのような形で生まれるのだろうか? 筆者の勝手なイメージでは、会社の会議室などに長時間こもって提案でもしているのかと思いきや、社員らからは「だいたい近所の立ち飲み屋で決めてますわ」という声が聞かれた。 「パロディを考えるにはノリがないといけないので、やはり一杯飲みながら、上乗せうわのせのノリを出していかないと」と高岡さん。同社近くのなじみの立ち飲み店で話を重ね、時には隣り合わせた客らに意見を求めたりもするという。 「楽しいお菓子を楽しく考える。ノリが新たなノリを生むことによって、危ない・きわどい発想が出るのがパロディ商品のおもしろさなんでね」と話す高岡さん。そして「大阪人でないとできないノリかな」とも続けた。 また、同じような菓子メーカーのパロディは作らない。普段から会合などで顔を合わせたりもするが、そうした傷つけたり嫌がるようなことはしない。人々の生活に身近なモノをイメージして作ることにより、子供らが「ままごと」などで、大人の真似をしやすいアイテムとして使った上に、「おいしい」と食べてくれることが、なによりの喜びだという。そこには、先に紹介した同社のパロディ商品での原点となる「ココアシガレット」を作った理由とリンクする。