真央の完全復活は無理なのか?
真央は完璧主義者といわれている。プラグラムのひとつにでもミスを起こすと、それが演技全体に悪影響を与えることが少なくない。3回転ルッツのエッジに関するトラウマが調子の波を落とす原因になったのと同時に、ブランクからの復帰戦に成功したことで、逆に目に見えない落とし穴にはまったのかもしれない。 演技の中での気持ちの切り替えという課題を真央自身もわかっているのだろう。試合後には「自分の目指している演技にはまったく遠いですね。やらなきゃという気持ちが強すぎるかも。本番になると空回りしています。心と体と技術が3つそろわないと。いまの私にはすべて足りません」と発言していた。 では、真央は完全復活を遂げることができるのか。このまま、またメンタルからくるスランプを抜け出せずにミスを繰り返し競技者として終わってしまうのか。 関係者の一人は、「悔しさが次なるモチベーションにつながる。悔しさは試合でミスをしなければ出てこない。ブランク期間中には絶対に出てこない感情だし、悔しさが、競技に対するテーマを明確にしていく。その意味で、悔しさを知ったことの意義はある」と、最下位の沈んだからこそ、それが活かせると指摘した。 また前述の今川さんも、「フリーでは苦手の3回転ルッツのエッジ不正も、回転不足もとられませんでした。これは、非常に評価すべき点で浅田選手には自信になったでしょう。ステップシークエンスでは、レベル4がついた上にGOEで2.0がついています。今回、出場した選手の中でも、エッジさばきの上手さや、スケーティング技術の高さ、滑りの緩急のつけ方などは、一人光っていました。 ここからが本当の勝負です。滑り込み、この2試合で見つけた修正箇所を改め、ジャンプの確率、精度を上げていけば、シーズン最後の世界選手権では、表彰台にあがること、優勝も不可能ではないでしょう」と真央のV字回復の可能性を強調した。 エッジのインサイドに乗る癖が抜け切れない3回転ルッツのトラウマを払拭すれば、復活の可能性が見えてくる。そして、その解決方法は、練習を重ね、試合で結果につなげるという成功の連鎖を繰り返して自信につなげるしかないのである。