【大学受験】「公募推薦」で年内に私大合格して、国立大に挑戦 入学金30万円払っても「大きな安心感」
総合型選抜や学校推薦型選抜の「年内入試」を受験する高校生が増えています。金沢大学理工学域3年の鈴木心大(こひろ)さんは、高校3年の11月、私立大学の公募推薦で合格を確保したうえで、第1志望だった金沢大学を一般選抜で受験し、合格しました。受験の経緯を聞きました。 【写真】鈴木さんの受験日程のイメージ(表=取材をもとに編集部作成)
――金沢大学を志望したきっかけは何ですか。 大学選びの土台にあったのは、一人暮らしに挑戦したいということでした。親は、大学のことをいろいろと調べて、僕に合いそうな選択肢を提案してくれましたが、基本的には「好きなようにしていいよ」という感じでした。ただし、「私立大学に行くなら兵庫県宝塚市の自宅から通えるところ、一人暮らしをするなら国公立大学にしてほしい」と言われていたので、それを基準に考えました。 学部については、特に興味のあることがなかったため、入学してから興味を広げていけばいいかなと思っていました。数学や物理が好きで、相対性理論のようなものに惹かれていたので、関連しそうな理工系の学部に絞って探しました。本当は関東の国立大学に行きたかったのですが、共通テストの結果を見て考え直し、金沢大学に変更しました。「4年間を過ごすなら、行ったことのない北陸に行ってみよう」という思いで選びました。 ――金沢大学のほかに受験した大学はありますか。 11月に近畿大学理工学部の推薦入試(一般公募)、1月中旬の共通テスト後に一般選抜で関西大学システム理工学部、関西学院大学工学部、中期日程で兵庫県立大学工学部を受けました。 近畿大学の一般公募(公募推薦)の存在を知ったのは、高校3年の9月ごろです。塾の先生と親から勧められて調べてみたら、学校長の推薦があれば出願でき*、他大学との併願もできることを知りました。合格できれば、抑えの大学をキープできるということです。学力試験がありますが、近畿大学は高校の教科書程度のレベルです。英検のスコアによる優遇もあり、英検2級を持っていた僕は、学力試験で2割くらい取れれば合格できることがわかりました。 とはいえ、共通テストよりも前に合否が決まるため、合格したら30万円ほどの入学金を納める必要がありました。親も僕も浪人はしない方針で、親からは「国立大学がうまくいかなかったとしても、浪人せずに済むように保険をかけて」と言われたこともあり、出願を決めました。 *出願条件として評定平均の最低基準を設けているケースもあります。 ――公募推薦の試験対策は、一般選抜とは別に行ったのですか。 教科書レベルの問題ということだったので、試験の2週間くらい前に過去問にあたって問題形式を確認し、時間配分を考えたくらいです。結果は合格でした。実は理系科目だけが飛びぬけて得意だった僕は、英語と数学と物理だけで受けられる国立大学の2次試験の模試はA判定だったのに、各教科をまんべんなく勉強する必要がある共通テストの模試はE判定。勉強は着実に進めていたものの、一般選抜には一抹の不安があったので、公募推薦で早めに合格を手に入れられたことは大きな安心感につながりました。