東京都杉並区長選挙22日告示 投票率向上に学生は「大学で投票できないの?」
東京都杉並区長選挙が22日に告示される。区長選は国政選挙などに比べ注目が集まりにくい。投票率が低迷するなか、自治体や非営利団体は投票を促進する試みを続けているが、投票率の改善には至っていない。こうした普及啓発にも限界があるようだ。(河野嘉誠) 東京青年会議所が主催する「杉並区長選挙公開討論会」が14日、JR高円寺駅前北口広場で開かれた。討論会には、すでに立候補を表明している現職区長ら5人が出席した。30度近い暑さの中、候補者たちは机上に用意されたおしぼりで汗を拭いながら、待機児童の問題や、2020年の東京五輪に向けた施設再編などについて舌戦を繰り広げた。 東京青年会議所によると、これまでにも多くの公開討論会を実施してきたが、屋外での開催は珍しいという。通りがかりの人も足をとめ、40人ほどの聴衆が入り替わりながら討論に耳を傾けた。若年層に選挙への関心を持ってもらうための試みとして、「杉並区長ネット模擬選挙」で当選した早稲田大学3年・中川健吾さん(21)が登壇し、候補予定者に質問を投げかける場面もあった。
啓蒙だけでは投票率向上に限界
自治体や非営利団体は、公開討論会をはじめ様々な普及啓発をおこなっている。だが、こうした活動が区長選の投票率向上に直結しているとは言い難い。中野区はコンビニエンスストアのレジモニターに期日前投票を呼びかけるCMを配信したほか、23区としては初めて選挙ポスター掲示板にQRコードを掲載した。しかし、こうした取り組みにも関わらず、6月8日におこなわれた同区長選は29.49%という低投票率におわった。同区長選の投票率は、平成22年が30.28%、平成18年が27.73%と低迷が続いている。 練馬区はインターンの大学生や20代から30代のボランティアスタッフと連携し、若者向けの普及啓発に力を入れている。区立小学校や都立高校で模擬投票を実施し、20歳を迎えた区民には「はじめての選挙はがき」を送付した。今年4月の現職区長の急死に伴う区長選では、「一票をとどける」をテーマにCM動画を制作し、インターネット上で公開した。この取り組みは読売新聞(都民版)に取り上げられ、CM動画は一週間で1000回以上再生された。だが、急な選挙だったこともあり投票率は45.33%と、平成23年の47.21%を下回る結果に終わった。