佐賀大学が“コスメ学部”を新設 国公立大学として初めて
佐賀大学は9月30日、化粧品分野を専門的に学ぶ学科相当のコスメティックサイエンス学環(仮称)を設置する構想を発表した。同分野で学部相当の組織を開設するのは、国公立大学で初めてだという。2026年4月の開設を予定しており、化粧品産業を主とした地域産業の発展と持続可能な成長に貢献することを目指す。同学環を紹介するイベント「未来発見オープンデイ」を11月4日に佐賀大学本庄キャンパスで開催予定だ。
コスメティックサイエンス学環の設置は、20年4月に策定した「佐賀大学ビジョン2030」で掲げた、時代のニーズに対応した分野横断型の学位プログラムの構築の一環によるもの。23年に理工学部理工学科データサイエンスコースの設置や、24年に理工学部入学の定員増加を進め、26年には熊本大学との教育学部共同教員養成課程設置とコスメティックサイエンス学環の設置を予定している。
佐賀県は、豊かな自然環境と高度な農業技術により豊富な原料素材を提供する。また、韓国や中国が東京と同距離に位置するという地理的優位性を生かし、「コスメティック構想」を掲げて化粧品産業の集積と関連人材の育成を推進している。製造業と製造販売業の数は増加傾向だという。
佐賀大学は、18年に唐津市に置く唐津キャンパスをコスメとヘルス関連プロジェクトの拠点として体制を整備し、教育・研究を推進するとともに化粧品科学共同研究講座を設置。同分野での学環設置により地元企業との連携を強化し、最新の研究成果を地域企業に還元し、技術革新を促進することで、地域と大学が一体となって化粧品産業の発展推進に貢献することを狙う。
同学環では、化粧品分野の包括的な専門性を修得し、化粧品の開発・製造に携わる技術者や、科学的根拠を基にした化学物質の安全管理・適正利用ができる専門人材、コスメティックサイエンス分野において学際的な素養を持ち、将来イノベーションを興せる人材の育成を目指す。学士課程の定員は30人を予定しており、卒業後の進路としては化粧品や原料、食料品・飲料品のメーカーなどを想定している。