転職先で「経理担当」で内定をもらったのに、入社後に「しばらくは営業をお願いしたい」と言われました。年収は「500万円」で通知書のとおりなのですが、こんなときどうすれば良いのでしょうか…?
約束していた業務と命じられた業務が異なっていた場合の対応
経理担当のプロフェッショナルとしてキャリア形成を望んでいた人が、入社後に「しばらくは営業をお願いしたい」と言われた場合、どうすべきでしょうか。 まず「採用内定時には希望通り経理担当」ということですが、労働条件通知書の「従事すべき業務の内容」をもう一度しっかり確認してください。本当に経理担当と明確になっているでしょうか。 (雇入れ直後)あるいは(変更の範囲)で「会社の定める業務」などといった包括的な記載になっていると、経理担当に業務が限定されているとはいえなくなります。内定前までにしっかり確認しておく必要があったのです。 労働条件通知書で明確に経理担当と記載されているのに、実際に命じられた業務が異なっているのなら、会社に説明を求めましょう。会社の説明に納得できない場合、直ちに退職することも可能です。就業規則等で退職の場合は1ヶ月前の予告が必要、などと記載されていても気にする必要はありません。前記の労働基準法の定めが就業規則に優先します。 「勝手に辞めるなら損害賠償請求する」などと言う会社もあるかもしれませんが、根拠のない脅しです。法令の定めに反し、約束を守らなかったのは会社側です。なお、会社に説明を求めても応じてくれないなら、不誠実な対応であり、退職を検討するのも良いでしょう。 もっとも、会社にも中途採用した有望な人材の育成についての考えがあるでしょう。会社の説明に納得し、合意したならば、それが労働条件となります。その場合も、将来のキャリア形成について納得いくまで説明を求めてください。
募集時にも労働条件の明示は求められている
なおこのような労働条件の明示は、会社が労働者を募集する場合や職業紹介事業者に求人の申込みをする際にも、義務づけられています。求人広告のスペースが足りないといったことから「詳細は面談時にお伝えします」ということは許されますが、この場合も、次の対応が必要とされています。 ●原則として面接などで求職者と最初に接触するまでに、全ての労働条件を明示する ●面接等の過程で当初明示した労働条件が変更となる場合は、変更内容を明示する 求職者としては、労働条件がすべて明らかになっているか、正式内定までに面接等で求人企業に確認することが大切です。なお、このような基本的なルールも守れない会社なら、そもそも転職先としてふさわしいかどうか、考え直すべきです。