静岡県警

　全国で毎年約2万人の自殺者がいる中、10日から「自殺予防週間」が始まった。若年層を中心に、SNS上に自殺をほのめかす内容を投稿する人は年々増え、静岡県警が1～8月に認知し対応した件数は33件と、2023年の1年間の36件に迫る状況だ。「悩みに気付いてほしい」と投稿するケースも多いが、県警は「書き込みは、自殺に誘う投稿なども誘発し、メリットはない。さまざまな相談窓口があるので安心して利用してほしい」と強調する。 　県警は、警察庁が監視業務を委託する民間団体「サイバーパトロールセンター（CPC）」などからの情報を共有し、追跡捜査による安否確認などで未然防止を図っている。サイバー犯罪対策課によると、対応件数は20年9件、21年3件、22年10件と推移したが、23年に36件と急増。今年は8月だけで10件が集中した。年代では10代が14人と4割超を占め、20代6人、30代5人、40代と50代が各4人。女性が20人に上った。 　SNS上で自殺予告をした理由を調べた結果、「自分の悩みに気付いてほしかった」「1人でいるのが怖かった」と誰かに助けを求めたかった人に加え、「死にたくなったので、気持ちを紛らわしたかった」「かまってほしくて」と投稿した人もいた。転居や新社会人生活の不安、職場の人間関係、失恋など動機はさまざま。「私が死ねば、子どもは幸せ」と投稿した上、睡眠導入剤を入れた酒を飲んだ50代の女性も認知したが、この際は閲覧者の通報などで早期に把握し、現場で救助することができた。 　自殺予告は、閲覧した第三者が投稿者を新たな事件へ誘引する危険性がある。県警はこうした内容の投稿を認知すると、管轄署を中心に本人や関係者との接触を試み、保護に注力する。 　同課の永田央次席はSNSの浸透が投稿増に起因していると指摘し、「閲覧者からの通報で救える命がある。投稿者の詳細が分からなくても、内容から緊急性を捉えて判断し、関係機関に通報協力してもらえるとありがたい」と期待する。