中国の禁輸解除、漁業者らが抱く期待と不安 魅力の巨大マーケットは変容、他国へも風評伝播「ゼロから再スタート」
中国が停止していた日本産水産物の輸入を再開することで日中両政府が合意した20日、鹿児島県の関係者からは、人口14億人超の巨大市場への輸出拡大に期待する声が上がった。一方で、処理水の放出は続き風評被害が完全に払拭されるかは見通せず不安も残った。 「モシモシ、ボク」…処理水放出で中国からの迷惑電話が鹿児島にも 水産関係だから?「海鮮まぐろ家」に2回
鹿屋市漁協は養殖カンパチの輸出を目指し、輸入停止前に中国で商談会を開いていた。皆倉貢組合長(77)は「中国は天然ものが捕れるので苦戦したが、品質には興味を持ってもらえていた。マーケットが大きいので攻めていきたい」と期待する。 現地ホテルや飲食店で県が企画してきたイベントでは、ブリやカンパチの刺し身が好評だった。県上海事務所の船井英史所長(45)は「今は日本以外の海産物に置き換わりつつある。再スタートと思って改めてPRに力を入れる」と話す。 中国向けの県内水産物は比較的少額ながら、主に養殖のブリやヒラマサを出荷していた。鹿児島税関支署によると、昨年8月以降はゼロが続く。県のまとめでは、2022年度の輸出額約6億6700万円は23年度、約3億8500万円にまで落ち込んだ。 ブリを輸出していた東町漁協(長島町)では、主要輸出先の北米など他の国でも安全性への懸念が広がり、取引が打ち切られたケースもあった。上竜美加工共販課長(46)は「以前のような輸出量に戻るのか。風評被害が払拭されればいいのだが」と願った。
南日本新聞 | 鹿児島