自民公認争い勃発 県議VS現職、異例の事態 来夏の参院選・長崎
来年夏の参院選の自民党公認候補を巡り、県連内で現職と県議による争いになることが確実になった。党支部などからの推薦受け付けが14日締め切られ、3期目を目指す現職の古賀友一郎氏(56)と、山下博史県議(49)=佐世保市・北松浦郡区=が俎上(そじょう)に載った。「現職優先」の慣行がある中、異例の事態。衆院長崎3区補欠選挙への対応など、県連会長を務める現職への不満が背景にあるとみられる。 古賀氏は2013年の参院選長崎選挙区で初当選し、昨年9月に内閣府政務官に就任。今年4月に投開票された3区補選の候補者選定を巡り「何もやらなかった」(ベテラン県議)と批判が渦巻いていた。 一方の山下氏は19年の県議選で初当選し、2期目の現在は文教厚生委員会の委員長を務める。衆院の定数削減を反映した新区割りの長崎3区の立候補予定者に名乗りを上げたが、党本部裁定で金子容三氏(41)に敗れた。 県連関係者によると、支部のうち少なくとも長崎と佐世保の両支部は古賀、山下両氏を公認候補とするよう県連に推薦。長崎支部は10日の会合で「2人とも実績や熱意は十分ある」と県連レベルでの選考に委ねることにした。単独で推薦した支部もあるという。 県連内では金子原二郎元知事と谷川弥一元衆院議員と近いグループ、それに対立するグループの二つの勢力による主導権争いが続く。21年の衆院選の公認選定では県連の決定を党本部が覆すなど、異例の経過をたどったことも。今回は古賀氏の県連会長としての働きぶりに加え地元での活動不足を理由に、対立するグループが中心となり山下氏支援に動いているという。 古賀氏周辺は「本人は支援者に頭を下げて回っている。人事を尽くして天命を待つ」と語る。山下氏周辺は「前々から国政に行きたがっている。若さがあり、新3区のことで顔を知ってもらえた」と口にする。 県連は5月の会合で、「必ずしも現職擁立を前提とせず透明性ある選考を行う」と確認。今月22日の選挙対策委員会で議論し、月末をめどに結果を党本部に申請する。1次公認候補は7月末にも発表される見通し。 (布谷真基、才木希)