小林幸子「15歳で一家の大黒柱に」2曲目から15年間曲が売れない、実家もない、どん底で聞いた「父の言葉」
── いろいろなお店で歌われていたそうですが、お客さんの反応はいかがでしたか? 小林さん:「お酒を飲みに来てるんだから歌なんか聞きたくない」という人もいれば、ちゃんと聞いてくれて「頑張れ!」って応援してくださる方もいました。ホステスさんが一番優しかったです。シングルマザーの人もたくさんいて、たとえば大きなキャバレーになると託児所があるんです。そこに、ホステスさんがオギャーと泣いている子どもを託児所に預けて出勤していきます。数時間お店に出て、最後お客さんを見送るときにチップをもらったり「また来てね~!」と挨拶して、バタン!とお店のドアが閉まった瞬間、託児所に飛んできて「ごめんね~、遅くなって…!」と急に母親の顔に戻るんです。
また、ホステスさんのなかでもすごい競争があって、トップになるために勉強しているでしょうし、お客さんの取り合いで喧嘩しているのも何度も見ました。私は10代だったのでただ見ているだけでしたが、すごいドラマだなって。いろいろ勉強になりました。
■ものすごく人を見る目があります ── 子どもの頃から芸能界や大人の世界に身を置いていると、人を見る目が養われそうです。 小林さん:ものすごい人を見る目がありますよ(笑)。すぐ信じるけれども、透視する術みたいなものはあるのかなって感じますね。だから大きく騙されたこともないです。お金で騙されちゃったとか、騙されて山買っちゃったとかたまに聞きますけど、そうした大きな失敗はせずに地道にやってきました。
なんとなくその人をじっと見ていたらわかりますよ。波動とかその時の自分の状態、あと目つきでもなんとなくわかります。目つきが悪い人がダメなわけじゃないですよ。目はね、本当に正直に言いますね。綺麗とか綺麗じゃないかではなく、気持ちが表れるんだと思います。でも、いろいろな人がいていいと思いますよ。どんな人でもいいところも嫌なところもあるだろうし、人間っぽくていいと思いますよ。 ── そうした経験を積みながら『おもいで酒』の大ヒットによって、人生がどんどん変化されていきました。