加速する独立リーグ“世界の人材供給源”へ

　3つ目は日本の独立リーガーの活躍の場が大きく広がったことだ。 　近年、独立リーガーのメキシカンリーグやアメリカ独立リーグ、そしてヨーロッパ移籍などの海外移籍は徐々に増えてきていた。しかし、KBOのようなアジアのNPBに次ぐビッグリーグでプレーする日本人選手はこれまでなかった。それだけにKBO移籍は他の海外移籍とまた違った意味合いを持つ。 　また今年は韓国だけでなく、アジアで日本・韓国に次ぐ規模の台湾プロ野球CPBLでも3人の独立リーガーが移籍し活躍している。先日には35歳の高塩将樹選手（元・福島レッドホープス他）がCPBLのドラフトで指名を受けたことが話題となった。 　NPBだけでなく、東アジアのプロリーグへ――。来季以降、それが独立リーガーたちの一つのトレンドになるかもしれない。 　独立リーグでのプレーがひとつのハブとなって、野球選手の可能性を大きく広げる。白川のKBO移籍はそんな“潮流”を示す事例となった。 　もちろんKBOでの白川の活躍は今秋のNPBドラフトにも影響を与えるだろう。もし白川がNPBからの指名を受けたならば、この潮流はさらに加速するに違いない。 　4つ目は待遇である。SSGランダーズと白川の契約は6週間で150万円(インセンティブ含む)。次の斗山とは520万円(インセンティブ含む)に上昇した。独立リーグに比べると大幅な昇給。白川は“コリアンドリーム”をつかんだわけだ。白川の切り拓いた道は独立リーガーにとって新しいキャリア選択のひとつになるだろう。 　NPBへの人材輩出を目指し、日本初の独立リーグとして四国アイランドリーグが設立され20年を迎える今期。大きな意味で世界の人材供給源として進化し始めた日本の独立リーグの今後の流れをじっくり見守りたい。 ＊1斗山ベアーズ：ソウルに本拠地を置くKBOの名門チーム。元ロッテ・巨人・オリックスで活躍した李承燁が監督を務め、後藤(元・巨人)がいる。ファンが熱狂的なことで知られる ＊2徳島インディゴソックス：11年連続でドラフト指名選手を輩出し、2023年には単一チームとしてはドラフト史上最多となる6名の指名選手を輩出した四国アイランドリーグ所属チーム。独立リーグ日本一3回。独立リーグを代表する名門チーム。主なOBに岸潤一郎(西武)、増田大輝(巨人)、井上絢登(横浜)、茶野篤政(オリックス)、椎葉剛(阪神) など多数 ＊3SSGランダース：2022年KBO優勝。MLBにおけるアジア人最多本塁打のチェ・シンスや韓国代表常連で韓国を代表するサウスポーであるキム・ガンヒョンや徳島インディゴソックスやヤクルトスワローズでもプレー経験のあるハ・ジェフンが在籍する。コーチには渡辺正人(元・ロッテ)や鈴木郁洋(元・中日　他)がいる。