日本の独立リーガーが韓国野球界を救う!? 徳島・白川恵翔の韓国移籍がもたらした「4つの功績」
7月10日、韓国プロ野球(KBO)の「斗山ベアーズ*1」が日本人投手を獲得した。 【動画】怪物ぞろいの独立リーガー 白川 恵翔、23歳。154キロの速球と、奪三振率の高さがウリの右腕である。 白川が韓国にやってきたのは5月。それまでは11年連続ドラフト指名を受け、昨年は同時に6人が指名される快挙を成し遂げた独立リーグの雄・徳島インディゴソックス*2の絶対的エースとして活躍していた。 最初に白川が入団したのは「SSGランダース*3」。6週間の在籍で5試合に登板2勝2敗、奪三振率は10点台を超えていた。 そんな実績をあげた白川が、たった6週間で移籍となったのにはワケがある。KBO特有の「代替外国人選手制度」が理由だ。KBOの外国人選手は上限3名だが、この中から6週間以上のケガ人が出た場合、代替として他の外国人選手を6週間限定で獲得できるという制度だ。今回、SSGランダースで6週間を経た白川はウェーバーされ、斗山ベアーズが獲得に動いた、というわけだ。
“韓国の危機”に一石を投じた白川の移籍
実は白川の移籍は韓国球界と日本の独立リーグにとって大きな意味を持っている。 まずは日本の独立リーグのレベルの高さを世界に示せたことだ。門倉健(元・中日など)以来、日本人選手として13年ぶりにKBOのマウンドに立った白川だが、NPB以外の選手では初めて勝利投手となったのだ。6週間で5試合に先発登板、防御率は5.09だったが、1回1/3イニングで8失点と“炎上”した試合を除くと、4試合で防御率2.49。日本の独立リーガーの力を証明した形だ。斗山が獲得に動くのも納得する活躍だった。 2つ目は、韓国球界が外国人選手あり方について再考するきっかけとなっていることだ。 白川の活躍により、現在KBOでは「アジア人枠」設定が議論のテーブルに載っている。1チームにつき1人で計10人のアジア人枠だ。具体的には日本、台湾、オーストラリアが検討されている状況だ。 ここには韓国特有の事情もある。韓国は日本よりも少子化が深刻に進んでおり、将来的に野球の競技レベルが下がることが予想されている。課題だった競技レベルの維持に風穴を開けたのが白川の活躍だったわけだ。 実際、6月30日の四国アイランドリーグの後期開幕戦・高知ファインティンドッグス-徳島インディゴソックス戦には KBOのスカウトの姿が見られた。KBOの目は日本の独立リーグに熱い視線を送り始めている。