トランプ氏の暗殺をイランから指示か 米司法省が訴追の容疑者が供述
米司法省は8日、イラン政府側からトランプ次期大統領の監視や暗殺を指示されていたとされるアフガニスタン国籍の容疑者(51)を、報酬を払って殺人を依頼した罪などで訴追したと発表した。同省は、容疑者はイラン精鋭部隊の革命防衛隊の協力者だとしている。 ガーランド司法長官は「イラン政府から、犯罪者仲間を使い、トランプ次期大統領を含む複数の標的への暗殺計画を進めるよう指示されていた協力者を訴追した」とコメントした。 検察側が裁判所に提出した書面によると、ファルハド・シャケリ容疑者は革命防衛隊の指示を受け、イラン政府に批判的な活動をしていたジャーナリストの女性の殺害を計画。ニューヨークに住む共犯者2人に10万ドル(約1530万円)の報酬で女性の居場所を特定させるなどしたとされる。2人は逮捕された。 ■すでに出国、電話で「トランプ氏暗殺」を供述 シャケリ容疑者はすでに米国を出国し、テヘランにいるとみられる。出国後の今年9~11月に米連邦捜査局(FBI)の電話聴取に応じ、革命防衛隊の関係者から「女性を殺したら約150万ドル(約2億3千万円)を支払う」と言われたなどと供述したという。 11月7日の聴取では、今年9月中~下旬ごろ、この関係者から「トランプ氏を監視し、究極的には暗殺することに集中すること」を求められたとも話した。容疑者が「とてつもない金がかかる」と応じると、関係者は「すでに多くの金を使ってきたから、金は問題ではない」と語ったという。 10月7日ごろには、トランプ氏の殺害計画を1週間以内に提出するよう求められたという。関係者は当時、トランプ氏は落選すると考えており、期限内に計画がまとまらない場合は、殺害が容易になる大統領選後に暗殺計画を延期する考えも示していたという。 第1次トランプ政権はイランへの経済制裁を復活させた経緯があり、次期政権でもイランに厳しい対応をとると見られている。今回の大統領選でトランプ陣営は、イランによるとみられるハッキング被害を受けるなどしていた。(ワシントン=田中恭太)
朝日新聞社