〈かつてはあのチャールズ・チャップリンも〉アメリカ入国が困難になる日、トランプの「アメリカ史上最大の不法移民の大量送還」におびえる移民たち
たびたび語られる不法移民問題
不法移民の問題は今に始まったことではなく、映画やドラマのテーマでも繰り返し描かれてきた問題である。米国に移住したいがためにフランス人男性が米国人女性と偽装結婚するというストーリーの『グリーン・カード』、ハリソン・フォードが移民を取り締まる側でありながら移民の事情にも共感をもつがゆえに職務と正義の間で揺れる捜査官を演じた『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』、韓国から3歳の時に米国に養子にやられた青年が、養父母による昔の書類の不備で強制送還されそうになる『ブルー・バイユー』などはその一例だ。 アニメ『ザ・シンプソンズ』でも、移民のテーマは繰り返し登場する。移民の強制送還の機運が高まる中、インドからの移民のアプーがすんでのところで強制退去を回避する一方、用務員のスコットランド人ウィリーが米国を出て行くらしき船に乗せられているというエピソードがある。 これほどまでに米国における日常的風景なのにではなぜ今回はこれほどさわがれているのだろう。そこにはこれまでの常識にとらわれない行動をするトランプという存在と、その言動を十分わかったうえで、一般投票の過半数が彼を支持したという世論の後押しに対する懸念があるからのように思える。 いずれにせよ1月20日の就任日に何が起こるかは誰にもわからない。皆固唾を飲んで見守っている。
廣部 泉