チーム結成直後に「決勝で先発」決まった戸郷翔征、顔ゆがむ2被弾…「次の台湾戦は先発で倒す」
野球の国際大会「ラグザス プレミア12」(読売新聞社など協賛)は24日、東京ドームで決勝が行われ、2次ラウンド1位の日本代表「侍ジャパン」が同2位の台湾に0―4で敗れ、大会2連覇を逃した。台湾は初優勝。最優秀選手(MVP)には、首位打者などにも輝いた台湾の陳傑憲が選ばれた。3位決定戦は、同4位の米国が同3位のベネズエラに6―1で快勝した。
日本4安打止まり
日本が一発攻勢に屈した。台湾は五回、林家正のソロ本塁打と陳傑憲の3ランで一挙4点を先行。日本は打線が4安打止まりで、2度の得点機でもあと1本が出ず、今大会初の無得点に終わった。先発戸郷の5回4失点の乱調も誤算だった。
村田コーチ、2日前に「70点」
登板2日前、戸郷のブルペン投球を打席で見た村田バッテリーコーチが言った。「70点って感じかな」。巨人でも共に戦うコーチが評する右腕の長所は、フォークボールと見分けがつかない腕の振りから出てくる直球の角度と切れ。それが本来のものではないように映ったそうだ。迎えた大一番、その直球を捉えられた。
決勝での戸郷の先発は、今回のチーム結成後すぐに決まったという。ここに照準を合わせてきたから、「僕にかかっている」と自ら重圧をかけてマウンドに上がった。初回のピンチで4番から三振を奪い、走者を出しても踏ん張る。四回までは無失点でしのいだ。
しかし、五回につかまった。8番打者に真ん中の直球を右中間席まで飛ばされると、さらに安打と四球で一死一、二塁。ここで3番打者にフルカウントから低めの直球を捉えられた。「一気に試合の流れが傾いた。1球の怖さを感じた」。右翼席で弾む打球を見て、戸郷の顔がゆがんだ。
巨人のエースとして初めて開幕投手を務め、シーズン自己最多の180回を投げた。「苦しかった」のが本音だ。重圧の日々ですり減った精神と肉体の疲れは、すぐに回復するわけがない。それでも戸郷は「納得して投げた球をホームランにされた。実力不足」と言い訳を一切しなかった。そして、最後に言った。「次に台湾と対戦する時は、必ず先発で倒したい」。まだ24歳。成長の歩みを止めなければ、悔しさを晴らす機会はきっと訪れる。(財津翔)
日本・井端監督「台湾はどの投手も素晴らしく、なかなか打つことができなかった。過酷なスケジュールで選手はよくやってくれたので、感謝したい」