定年時の貯金が0円でも、定年後も働いて稼げば生きていけますよね?
定年後の老後の暮らしは、年金だけでは成り立たないという声をよく耳にします。一方、定年を間近に控え、貯金が「ゼロ」という方も少なくないでしょう。貯金がない方は定年後に何らかの収入がないと、老後の生活をやりくりすることは難しいかもしれません。 そこで今回は、貯金ゼロの家庭が、定年後の労働だけで生活できるのかを解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
定年後の平均年収
まずは、定年後に得られる平均年収について見てみましょう。国税庁長官官房企画課の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、定年後の年代の男女別平均収入は表1の通りです。 表1
※国税庁長官官房企画課「令和4年分民間給与実態統計調査」を基に筆者作成 表1のように、男女とも年齢を重ねるごとに収入が減少していることが分かります。同資料を基に、60~75歳まで働いたと仮定した場合、15年間で得られる収入は以下の通りです。 ・男性:6820万円 ・女性:3525万円 ・男女計:5405万円 定年後に働かない場合、上記のお金が得られないことになります。もちろん働く時間や会社によって給与には差が見られますので、あくまで平均値での試算となります。
65歳以降の生活における平均支出額
次に、65歳以降の生活における平均支出額を見てみましょう。総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上における平均支出は表2の通りです。 表2
※総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者作成 毎月10万円(夫婦の場合20万円)の年金が支給された場合、毎月不足する額は以下の通りです。 ・単身無職世帯:5万5495円 ・夫婦のみの無職世帯:6万8508円 貯金がない場合、この不足分を、定年後の収入で補う必要があります。
不足分を収入で補えるのか?
実際に、年金だけでは生活費をまかなえない可能性があることが分かりました。 前述した平均年収を月額に換算(男女計)すると、65~69歳が28万5000円、70歳以降で24万8000円です。平均程度の年金と給与収入が得られる場合であれば、貯蓄「ゼロ」でも足りない分は十分まかなえそうです。 ただしパートなどの短時間労働の場合、収入が平均値を下回ることが考えられます。定年退職後に、どの程度働いて収入を得られるのかはそのときになってみないと分からないため、ある程度の貯蓄があったほうが安心でしょう。