宇多丸×ピーター・バラカン「オススメしたい音楽映画」は? お気に入りの作品を語り合う
◆賛否わかれたボブ・マーリー映画の感想は?
柴田:続いて、2024年に気になってご覧になった音楽映画をおふたりから教えていただきたいです。 宇多丸:今回、2つともドキュメンタリー映画でしたけども、最近は伝記系が多いですよね。2024年だとボブ・マーリーがありましたね。 バラカン:「ボブ・マーリー:ONE LOVE」(2024年5月公開)ね。 宇多丸:すごく変わった切り取り方をした伝記映画でした。ボブ・マーリーの音楽は知っていましたけども、調べてみたら事実は小説より奇なりというか、映画がどこを取り入れているのかがわかって面白かったですね。 バラカン:僕はボブ・マーリーが大手のレコード会社からデビューしたときから亡くなるまでずっとリアルタイムで聴いていたので、よく知っています。あの映画が面白いのは、1年ちょっとしか取り上げていないところなんですよね。海外の評判は悪かったんですけど、それは家族が制作に関わっていて、ボブ・マーリーがあまり悪く描かれないようにしたんじゃないかと思われていたみたいです。ただ、僕はそれほどでもなかったんじゃないかなと思いました。 宇多丸:女性問題とかね、当然そこが大問題の人なんだけど、それもちゃんと描いていましたしね。僕は奥さん側の言い分とかも含めて調べましたけど、ボブ・マーリー側が悪者と捉えてもおかしくない人もフェアに描いていたんですよね。身内が作ったにしてはけっこうフラットなんじゃないかなと思いました。 柴田:ボブ・マーリーのことをあまり知らない人も楽しめますか? バラカン:入口にはなると思いますよ。世界的に一番評価の高い『エクソダス』(1977年)というアルバムを作ったあたりが詳しく語られているので「この曲知ってる」というのは多いと思います。 (TOKYO FM「Tokyo Midtown presents The Lifestyle MUSEUM」2025年1月3日(金)放送より)