日本生命、移行金融での投融資先の評価基準を策定-実践要領を公開
(ブルームバーグ): 日本生命保険は11日、脱炭素化に向けたトランジション・ファイナンス(移行金融)の推進に向け、投融資先の評価基準を定めた「実践要領」を策定したと発表した。企業の積極的な情報開示や金融機関の評価手法の標準化につなげ、中長期に企業の脱炭素化を支援したい考えだ。
日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げ、今後10年間で150兆円超の官民投資が必要だとしている。企業の脱炭素化に向けてトランジション・ファイナンスの重要性は増す一方、定義の曖昧さによる信頼性の棄損や情報開示不足による海外投資家からの資金獲得難などが懸念されていた。
今回策定した要領では、企業の温室効果ガス削減の短期・中長・長期計画が、世界の平均気温を産業革命前に比べて1.5度に抑えるというパリ協定に整合しているかを科学的根拠に基づいた基準値を用いて評価すると説明。企業レベルで整合しない場合には個別の事業レベルで評価し、投融資の適格性を判断する。
例として、国内の排出量で大きな割合を占める鉄鋼と電力の2セクターを対象に整合性を評価するための具体的な手順を示した。
日本生命・責任投融資推進室の宮本泰俊室長は「脱炭素に向けた企業の資金ニーズは来年にかけて出てくる」と述べ、要領の公開や共有を通じて移行金融市場の拡大につなげたいとしている。
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Nao Sano