老朽化する高速道路を救え! 29年に世界20兆円市場、次世代交通インフラ「スマートハイウェイ」ってなんじゃらほい?
ITが支える快適交通網
「スマートハイウェイ」は、渋滞のない安全で快適なドライブを実現するための仕組みだ。 【画像】「えぇぇぇぇ!」 これが「50年前の海老名サービスエリア」です! 画像を見る(14枚) これは、道路交通の管制や渋滞の検知、予測にさまざまなITソリューションを活用して整備される高速道路のことを指している。スマートハイウェイは、物流や交通の効率化、快適さや安全性の向上を目指す次世代の交通インフラとして注目されている。 スマートハイウェイは単なる高速道路ではなく、特にIoT(モノのインターネット)を活用して管理される交通インフラ全体を含んでいる。 IoTは、インターネットを介してさまざまな物理的なデバイスや「モノ」が互いに接続され、情報を収集、交換、分析する仕組みだ。これにより、日常生活やビジネスのさまざまな場面で効率化や便利さが実現される。 そのため、自動運転技術やメンテナンス、交通管制など、さまざまな分野と関わりがある。交通の快適さや安全性の向上は確かに重要な課題だが、なぜ特にスマートハイウェイに注目が集まっているのだろうか。
5Gで進化する道路
スマートハイウェイが推進される背景のひとつは「5G」である。5Gは、高速で大容量の通信を実現する第5世代移動通信システムで、 ・低遅延 ・多数接続 といった特徴がある。総務省の発表によれば、2022年度末時点で全国の5G人口カバー率は96.6%に達している。 スマートハイウェイは、インターネットに接続できるさまざまなIoT機器を活用しているため、高度な無線通信は欠かせない要素だ。特に5Gの大容量・低遅延・多数接続といった特徴は、情報を統合し分析・活用するスマートハイウェイとの親和性が非常に高い。5Gの普及により、スマートハイウェイを実現する基盤が急速に整ってきたといえる。 例えば、ソフトバンクはAIを用いたインターチェンジ監視の実証実験を行った。同社が開発した「おでかけ5G」を知多半島道路の半田中央インターチェンジに設置し、AIによる画像解析を実施した。この実験では、HD画質では検出できない落下物や逆走車をAIで見つけ出すことを目的としている。 この実証実験で5Gの高速大容量データ通信が活躍し、より小さな落下物や逆走車などの道路上の異常を自動的に検知することに成功した。これにより、パトロール員の安全監視を効率化し、見落としを減らすことが期待されている。 さらに、ソフトバンクはIoTによる渋滞監視も実証実験している。知多半島道路の5か所に簡易トラフィックカウンターを設置し、実験の結果、特定地点での渋滞発生を検知し、渋滞の長さをより正確に測定できることがわかった。 こうした情報を5Gの高速通信で迅速にドライバーに提供できるようになれば、渋滞の緩和や効率的な迂回路への誘導が可能になる。