「第2期後」規模1.1兆円超 福島県復興事業、25年夏めど決定
政府が第2期復興・創生期間(2021~25年度)終了後の26年度から5年間の本県の復興事業規模について、現時点で第2期の1兆1000億円程度を上回ると見込んでいることが17日、関係者への取材で分かった。本県を含む被災3県などを対象とした事業規模は1兆円台後半と想定するが、本県分の上積みにより第2期の全体事業費約1兆6000億円を超える可能性がある。来年夏ごろをめどに財源を含め決定するとともに、復興の方向性を定めた基本方針を改定する方針。 政府内では帰還困難区域で新たに避難指示解除の対象となる特定帰還居住区域の復興の本格化などを見据え「(本県での)事業規模は今の5年間を十分に超える」との見方があり、引き続き全体事業費の大半を本県分に充てる方向で調整するとみられる。政府は今後、県や被災市町村と必要な事業などについて本格協議に入る方針。政府が11月に実施した事業効果などを公開点検する行政事業レビューを巡り、外部有識者が復興事業の見直しを指摘するなど県内で懸念が広がる中、石破茂首相は14日に来県した際に26年度以降は第2期を上回る復興財源を確保すると明言していた。 併せて、政府は26年度以降の復興事業費と連動する基本方針の改定に向け、今月下旬にも全閣僚で構成する復興推進会議を開く方向で調整している。会議では改定の根拠となる被災地に残された課題などを協議する方針。 課題案によると、東京電力福島第1原発の廃炉や県内の除染で出た土壌の県外最終処分などについて「次の5年間で何としても解決していく」と明記。福島ロボットテストフィールド(南相馬市)などを活用し、衛星や宇宙関連分野の産業化を見据えた環境整備やスタートアップ企業を誘致する方針も掲げた。 水産業分野では計画的な水揚げ回復やスマート水産業を推進すると強調。行政事業レビューで見直しが指摘された福島再生加速化交付金を含む「さまざまな支援策の柔軟な活用」により復興を進める姿勢を示した。除染が進んでいない帰還困難区域の森林での活動再開についても検討するとした。
福島民友新聞