〈火野正平・秘蔵インタビュー〉「『最低の女』と『最高の仕事』のどちらを選ぶかって聞かれたら…」不倫も許された“稀代のモテ男”の哲学
「やっぱり勝手すぎるのかな、オレって奴は」
一方の火野氏はというと、1982年12月2日特大号の「週刊明星」の「男にとっての“やさしさ”とは…」というグラビアで、胸中をこのように語っていた。 仕事の合い間をぬって、ぶらり新宿・ゴールデン街にやってきた。 この街はいつきても懐かしい。 夜はネオンがこうこうと輝き、あれだけにぎやかだというのに 昼間のこの街ときたらまるでセットだ。 セットといえば、映画に憧れてこの世界に入ったのが8才の時。 あれからもう25年たつのか――。 今日のお伴はオレの良き相棒であるクマ。 ついこの間までチビだったのに、 いつのまにかこんなにデカくなりやがって。 犬といると一番素直な自分に気づく。 思えばオレと犬のつき合いは長い。 このクマともう一匹いるクズで もう何代目になるんだろう。 そして女……。 オレにとって女とは一体何だろう。 男は女によって自分を変えることはないが 女は違う。 だからいつも女が可愛相だと思ってしまう。 勝手すぎるのかな、オレって。 オレと別れた後で、女が結婚したという噂を聞くと、 良かったという思いと、ちょっぴり寂しい気分が交錯する。 やっぱり勝手すぎるのかな、オレって奴は。 しかし女がそのままひとりでいると胸が痛む。酔った勢いで電話したこともある。 これも勝手すぎるよな、やっぱ。 とはいえ今のオレにはA子しかいない。 このオレがもっともやさしくふるまえる女性----。 なんとこの時点でも、小鹿みき氏と望月真理子氏を経て、A子なる女性と交際していることを打ち明けているのだ。1983年8月4日号の「週刊明星」では、このA子さんとの間にできた子どもの出産前に行なわれた火野氏の熱狂コンサートや、その後の直撃の様子なども掲載している。
「1番は遊ぶこと。2、3番が仕事」
火野は、20代から40代まで約2000人の女性ファンが詰めかけたコンサートの挨拶で、開口一番にこう言った。 「今晩は、火の車です」 この挨拶には女性ファンも大爆笑だったようだ。まもなく愛人女性との間の子どもが産まれるというときに別の女優との噂が出たことに対して、火野氏は上記のようなジョークをかましたわけだが、なんとも堂々としたものである。 コンサート直後の直撃にもこう答えている。 「まわりが騒ぐだけで、おれはカンケイないよ。(A子は)元気だよ、もう赤ん坊が出かかってるんだよね」 2009年のスポーツ新聞へのインタビューにもこう飄々と答えていた火野氏。 「『最低の女』と『最高の仕事』のどちらを選ぶかって聞かれたら、最低の女に決まってるだろ」。そして、「1番は遊ぶこと。2、3番が仕事。芸能界には『いい人いい役者にあらず』って言葉があるんだ」。 芸能界を遊び尽くした男が逝ってしまった。謹んでご冥福をお祈りいたします。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班