アルファ・ロメオ・モントリオールの「未来的」特別感 「純粋」に運転が面白いポルシェ911 S 2.4 (2)
近未来的で特別なモントリオールの車内
アルファ・ロメオ・モントリオールは、大胆なスタイリング同様にインテリアも近未来的。大きな2面のメーター内に、複数の補助メーターが一体化されている。 【写真】面白いほど異なる個性 アルファ・ロメオ・モントリオールとポルシェ911 S 2.4 同時期のスポーツモデルも (130枚) スイッチが整然と並び、ドアやダッシュボード、ステアリングホイールのトリムがエキゾチック感を醸し出す。派手すぎず華やかで、イタリアンな仕上がりだ。 素材は上質で、作り込みも良い。モントリオールに座ると、1970年代の理想的な車内だと納得できる。運転姿勢も自然。コブの並んだシートは座り心地が良く、広い視界が得られる座面高で、NACAダクトの開いたボンネットを程よく見下ろせる。 ポルシェ・マニアの贔屓目でなければ、モントリオールの方がインテリアは特別だと感じるだろう。実際に走り出しても、人間工学の正しさと快適性へ感心できる。唯一、低速域ではステアリングホイールが重すぎる。パワーアシストが恋しくなるほど。 5速マニュアルのシフトレバーはキビキビと動かせ、手応えに充足感がある。市街地を流す程度でも、2.6L V8エンジンのサウンドは美しい。アイドリング時から滑らかに回り、アメリカン・ユニットのようなドロドロという唸りはなく、音の粒が細かい。 排気音は、回転数の上昇とともに聴き応えのある雄叫びへ変化していく。0-96km/h加速は7.5秒で、充分に鋭く洗練されている。
スタイリングと一致しないボディロール
高い速度域でも、モントリオールの乗り心地は落ち着いたまましなやか。路面の凹凸を巧みに吸収してくれる。ステアリングは、徐々に扱いやすい重さへ変化し、フィードバックも濃くなる。やや遊びは大きいけれど。 減速を最小限にしてカーブへ突っ込むと、若干不安定に転じ、アンダーステアも現れる。スーパーカー的なスタイリングと、大きめのボディロールが一致しない。 この頃のアルファ・ロメオ・ジュリアも、優れた操縦性に定評はあったが、同様に横方向の傾きが大きかった。車重がそれよりかさばるモントリオールでは、素早い荷重移動が難しいようだ。 連続するカーブでは、小さくない慣性を実感してしまう。開発には4年が費やされ、生産は1970年から7年間続いたが、最後までこの特性は変わらなかった。 欧州では、サスペンションのチューニング・アイテムが社外メーカーから提供されていた。1973年に起きたオイルショックが、アルファ・ロメオから改良する気持ちを奪ったのかもしれない。 そんなことを思いながらポルシェ911 S 2.4に乗り換えると、見事な身のこなしに感心してしまう。スターターモーターを長めに回し、アクセルペダルを軽く煽りながら、2.4L空冷フラット6は目覚める。 始動直後のノイズは、ガラガラと聞き慣れた空冷サウンド。興奮を誘うものとはいいにくいだろう。