「下町ロケット」モデルの心臓修復パッチ6月12日発売 心臓の再手術リスク低減へ、福井経編興業や帝人など共同開発の「シンフォリウム」
福井経編興業(本社福井県福井市西開発3丁目、髙木義秀社長)と帝人(本社大阪市)、大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)が5月27日、共同開発した心臓組織手術用の心・血管修復パッチ「シンフォリウム」を6月12日に発売すると発表した。3者が東京都内で記者会見を開いた。 パッチは、心臓につながる血管が先天的に細いなどの疾患に対し使われる。世界の新生児の約1%、国内では年間約1万人が先天性心疾患を持ち産まれてくるという。開発したパッチは既製品で課題となっていた、子どもの成長やパッチ劣化に伴い再手術が必要となるリスクの低減が見込まれる。 10年後に国内で1300人超に対して使用し、5億1千万円の売り上げを見込む。帝人子会社の帝人メディカルテクノロジー(本社大阪市)が製造販売元となる。 パッチは、高度な経編技術で体内で分解される糸と分解されない糸を編み込んだものにゼラチン膜を施しており、ゼラチンと糸が分解されて細胞組織に置き換わる一方、編み目がほどけることで生地が伸長。残った糸は組織が成長する際の骨格として機能する。 大阪医科薬科大学の根本慎太郎教授が開発を持ちかけ、2014年に着手。昨年7月に厚生労働省から製造販売の承認を受け、今年3月に保険適用された。パッチ開発は直木賞作家池井戸潤さんの小説「下町ロケット2 ガウディ計画」のモデルにもなり、注目を集めた。
福井新聞社