【PS5 Pro】先行体験リポート。PCゲーマーも唸る次世代ゲーム体験、ゲームに熱中しているハードコアユーザーに向けたテクノロジーがてんこ盛りコンソール
2024年9月11日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、プレイステーション5(PS5)の上位モデルとなる“プレイステーション5 Pro(PS5 Pro)”を発表した。 【記事の画像(18枚)を見る】 PS5より高性能なGPUを搭載したことで、レイトレーシングを強化し、新たなAIアップスケーリング技術”PSSR(プレイステーションスペクトルスーパーレゾリューション)”の導入により、グラフィックモード同等以上の画質で可変4K/60fpsを実現している。さらに、2TB SSDや最新のWi-Fi 7をサポートするなど、“Pro”の名にふさわしい機能も搭載されている。 しかし、日本ではPS5の価格改定が発表された直後というタイミングでの発表となり、約12万円という高額な価格設定は、多くのゲーマーにとって購入を躊躇させる要因となっている。加えて、ディスクドライブが別売りであることもトータルコストを押し上げることにつながる。 筆者もRyzen 5 5600XとGeForce RTX 3080を搭載したゲーミングPCを所有しており、PS5 Proの価格を考慮すると購入を見送る予定だった。しかし、幸運にも米国本社での先行体験イベントにご招待いただいたので、PS5 Proの実力を確かめるべく参加してきた。本稿では、PS5 Proの実機体験を通して感じた進化を紹介する。また、商品企画を担当したSIEの青木俊雅氏とのインタビュー内容もお届けする。 PS5ユーザーが抱えるジレンマからの解放 PS5でゲームをプレイする際、“画質重視のグラフィックモード”と”フレームレート重視のパフォーマンスモードのどちらを選択するか、多くのユーザーが悩んだことがあるだろう。筆者はフレームレート重視のため、つねにパフォーマンスモードを選択している。しかし、パフォーマンスモードでは画質が著しく低下し、ゲーム体験が損なわれるタイトルも存在する。最近の例では、『ファイナルファンタジーVII リバース』が挙げられる。 このようなジレンマを抱えるくらいならPCでプレイしたほうがいいと考えるゲーマーも多いだろう。筆者もPS5専用タイトル以外はPCでプレイしていた。しかし、今回のイベントでPS5 Proのポテンシャルを体験したことで、PS5 Proの購入かPCのアップグレードか、真剣に検討せざるを得ない状況に陥った。それほどのショックを受けてしまったのだ。 PS5 Proのデザインと進化点 イベント会場には、PS5 Proと同時に発表された30周年モデルの実機が展示されていた(30周年アニバーサリーコレクションについては別記事を参照してほしい)。 PS5 Proのデザインの特徴は、本体カバー中央に刻まれた3本のスリットだ。これは、PS5とのデザイン上の差別化を図るとともに、排熱性能の向上にも寄与している。背面の通気口もPS5より高密度になっているが、イベント会場では排気音の大きさは確認できなかった。 PS5 Proのサイズは、PS5 Slimより一回り大きいものの、“Pro”を名乗るには比較的小型に感じる。これは、PS5 Proの高さが初期型PS5と同じ約390mmである一方、横幅がPS5 Slimと同じ約260mmに抑えられているためだ。初期型PS5よりもコンパクトなサイズに収まっているのは驚きだ。 圧倒的なパフォーマンスを実感できる試遊体験 イベントでは、PS5 Proのパフォーマンスを体験できる試遊台も用意されていた。PS5とPS5 Proの映像を比較できるよう2台のテレビが設置され、各タイトルの開発者もスタンバイしていた。開発者は参加者がPS5 Proで操作するのと同時にPS5でも同じ操作を行い、PS5 Proによるゲーム表現の向上を比較解説してくれるという贅沢な構成だった。 試遊できたタイトルは以下の通り。これらのタイトルを含む40~50タイトルが、PS5 Pro発売と同時に対応アップデートを配信予定とのことだ。 デモンズソウル(Bluepoint Games)ドラゴンズドグマ 2(カプコン)F1 24 (Electronic Arts)ファイナルファンタジーVII リバース(スクウェア・エニックス)グランツーリスモ7(Polyphony Digital)ホグワーツレガシー(WB Games Avalanche)Horizon Forbidden West(Guerrilla)Marvel's スパイダーマン 2(Insomniac)ラチェット&クランク:リフトアパート(Insomniac)The Crew Motorfest(Ubisoft)The Last of Us Part II Remastered(Naughty Dog) すべてのタイトルを試遊してみたが、ここではPS5版と比較してとくに大きな変化を感じたタイトルを例に挙げて紹介する。試遊したタイトルはすべて開発中のものという点は留意いただきたい。 ファイナルファンタジーVII リバース PS5版の『FF7リバース』では、パフォーマンスモードを選択すると解像度が4Kから1080~1200p程度に低下し、全体的にぼやけた印象だった。また、TAAによる残像が目立ち、グラフィックを犠牲にした状態でのプレイを強いられた。 しかし、PS5 Proではグラフィックモードと同等、あるいはそれ以上の画質で60fpsを実現していた。美しいグラフィックと安定したフレームレートの両立は、まさに理想的なゲーム体験だ。 今回のデモでは、グラスランド、ジュノン、ゴールドソーサーの3つのエリアをプレイできた。とくに大きな違いを感じたのはジュノンだ。アンダージュノンを遠方から望むシーンでは、PS5版では看板の文字がぼやけて判読できなかったが、PS5 Proでははっきりと文字やデザインを確認できた。また、アンダージュノン近くにあるチョコボ牧場のオブジェクトも、PS5版ではカクカクした描写だったが、PS5 Proでは滑らかに表示されていた。 さらに、PS5版では近くにいる味方の顔や髪がぼやけていたが、PS5 Proではつねに鮮明に描写されていた。ムービーシーンのアップでも、PS5のグラフィックモードよりも美しく、まるでネイティブ4Kでレンダリングされているかのような錯覚を覚えた。 これらの進化は、PS5 Proの目玉機能であるAIアップスケーリング技術“PSSR(プレイステーション スペクトルスーパーレゾリューション)”によって実現されている。PSSRは、SIEがAMDと共同開発した技術だが、マーク・サーニー氏を始めとするSIEのエンジニアが設計やアルゴリズムを主導し、PS5 Proに搭載する専用ハードウェアを開発することで完成した。 PCゲーミング界隈ではNvidiaによるAIアップスケーリング”DLSS”が有名だが、じつはNVIDIAのライバルでありSIEのパートナーであるAMD自身は、まだAIアップスケーリングに対応したGPUをリリースしていない。 ドラゴンズドグマ2 筆者はPC版『ドラゴンズドグマ2』を1440pでプレイしていたが、ヴェルンワースなどの高負荷エリアでは、NvidiaのDLSS 2.0やMODを導入してもフレームレートが安定せず苦労した。 今回のイベントで試遊できたPS5版は、4K/30fpsに設定されていたが、それでも30fpsを維持できない場面が頻発していた。一方、PS5 Pro版はヴェルンワースでもフィールド戦闘中でも60fpsを安定して維持していたのは驚愕だ。しかも、装備のテクスチャやアンチエイリアスはより高精細に見えた。 カプコンの広報担当者によると、PS5 Pro版は最高画質設定で55~60fpsを維持できるようにパッチを開発中とのことだった。筆者のPCでは4K解像度を選択すると60fpsを維持するために画質を大幅に落とす必要があるため、PS5 Proの性能に驚かされると同時に、ついに自分のPCが完全敗北してしまう時が目の前に来ていると実感させられてしまった。 なんともツラい話だ。 The Last of Us Part II Remastered / Horizon Forbidden West 『The Last of Us Part II Remastered』と『Horizon Forbidden West』は、どちらもファーストタイトルであり、PS5版の時点でトップクラスのグラフィックを誇る。 『ラスアス2』のPS5版はネイティブ4K/30fpsのグラフィックモードだが、PS5 Proでは可変4K/60fpsとなっている。しかし、画質は非常に高く、本当に可変解像度なのかと疑うほどだ。画面に顔を近づけてみると、草木の描写はPS5版のグラフィックモードのほうが鮮明だがエリーのモデルはほとんど見分けがつかないレベルだ。それでいてフレームレートは2倍になっているため、プレイフィールは大きく向上している。PS5版をパフォーマンスモードにすると、PS5版はオブジェのテクスチャがのっぺりしていて、同じ60fpsでも画質に明らかな差が出る。 『Horizon Forbidden West』ではパフォーマンスモードと比較した。アーロイのテクスチャには大きな変化は感じられなかったが、光の描写が大きく異なっていた。あるエリアでは夜空に包まれていたが、PS5版ではレンダリングとシェーダーの問題でカメラを動かすたびに星が明滅してしまうことがあった。しかし、PS5 Proだと星は一切消滅せず、カメラを動かすと星の軌跡がうっすらと残り、まるで長時間露光の夜景写真を見ているかのようだった。また、PS5版ではエリア内にあるモニター画面のテクスチャが潰れていたが、PSSRのおかげでグラフィックモードと同等のレンダリングが可能になっていた。 ホグワーツレガシー / デモンズソウル 上記タイトルの多くは、PSSRによるAIアップスケーリングで60fpsを維持することに注力していたが、異なるアプローチを採用したタイトルもあった。それが『ホグワーツレガシー』と『Demon’s Souls』だ。 『ホグワーツレガシー』は、PSSRでフレームレートを引き上げるのではなく、レイトレーシングによる反射と影の描写を大幅に強化するという方向性を取っている。PS5だとレイトレモードとクオリティモードは約45fpsで動作するが、PS5 Proのエンハンスドモードは30fpsに固定し、処理能力をレイトレーシングに割り当てている。 食堂のガラスの反射はいい例だ。散策中は、飾ってある鎧にプレイヤーキャラクターや他の生徒が映り込んだり、あらゆるものが鏡面仕上げのように反射するため、逆に違和感を感じるほどだった。草木が風で揺らぐことで描写される影も非常に鮮明だ。60fps固定のパフォーマンスモードも用意されているが、レイトレーシングが無効になっているため、PS5版と大きな違いは感じなかった。 『Demon’s Souls』もおもしろいアプローチをしている。PS5版では、ネイティブ4K/30fpsのシネマティックモードと可変4K/60fpsのパフォーマンスモードが用意されているが、PS5 ProではPS5版の操作感を維持するため、これらのモードに加え、PSSRでレイトレを有効にした可変4K/60fpsモードが追加されている。パフォーマンスモードとPS5 Pro用のモードはどちらも60fpsだが、なぜふたつのモードが用意されているかというと、PvPゲームなのでプレイヤーがレイトレなどのエフェクトによって気が散ってしまう可能性や、より安定した60fpsを求めるプレイヤーのために、従来のパフォーマンスモードも残したそうだ。 グランツーリスモ7 & F1 24 『グランツーリスモ7』と『F1 24』は8Kで試遊できた。ネイティブ8KではなくPSSRでアップスケールした可変8Kだが、8Kが60fpsで動いているのは驚愕を通り越して恐怖すら感じるレベルだ。ハイエンドPCでも8K環境で動かせるのは極一部なのに、12万円のコンソールで実現してしまっているのだから、専用ゲーム機の底力を見せつけられたと言えるだろう。 『グランツーリスモ7』は4Kモードだと観客の顔が低画質だが、8Kモードだとひとりひとり判別できるレベルに変化する。同席していた開発スタッフが実は観客としてカメオ出演していて、ようやく自分の顔をハッキリ見られると喜んでいたが、その歓喜はさすがにニッチすぎる。また、レース中もレイトレーシングに対応することで、車内の素材に影や反射による立体感が生まれて没入感が増している。 『F1 24』は8Kだけでなく4K/120fpsにも対応し、雨による水しぶきと夜を照らすライトがレイトレーシングによって写実的なまでの美しさを見せてくれた。 価格面はよりゲーム体験に熱中しているハードコアユーザーを意識。価格にあった高性能を実現 ここからはSIEのシニアプリンシパルプロダクトマネジャー/商品企画の青木俊雅氏とのインタビューをお届けしよう。 PS5 Proの開発経緯やターゲット層、PS5 Pro対応アップデート開発への協力体制などを伺ってみた。 ――PS5 Proの開発経緯を教えてください。: 青木: PS5でプレイヤーの皆さんに楽しい体験の提供を目指して、SSDやコントローラーだったり3Dオーディオなど新しい機能を入れていきました。 ただ、PS5の開発が始まってゲームチームから、グラフィックモードを用意しないと4Kではまだ60fpsが出せませんというフィードバックがやはり強かったです。 なのでほとんどのゲームが、4K30fpsとか1080pや1440pの60fpsというふたつのモードを用意していて、残念ながらベストの対比を提供できていませんでした。そこでPS5 Proの構想に入ったときに、やはりそこを何とかしたく、グラフィックスにフォーカスし、今回GPUをより強化して、レイトレーシングも強化、さらにAIのアップスケーリングを入れて、先ほど言った解像度とパフォーマンスの両立を目指してやってきました。 いくつかデモでも体験できていると思いますが、ゲームチームとしても今回のAIアップスケールが従来の単なるアップスケールよりも、よりリアリスティックにレンダリングに近い物を再現できているので、かなりみんな喜んでどんどんそれを使って、それによって60fpsに収まるようになったということで、デベロッパーさんからもかなり好評はいただいていますし、これでプレイヤーさんに4K60fpsといういちばんベストな体験を提供できるかなと思っています。 ――PS5 Proのターゲットはどんなユーザーを想定しているのでしょうか。これまでPS5を持っていなかった方が最初に手にするには価格の敷居が高く、一方で買い替え需要にしても2台目で手を出すには厳しい金額に感じます。: 青木: 価格については、今回の目指しているものはやはり全員のためではなくて、よりゲーム体験に熱中しているユーザーさん、Most Engaged Userという言いかたをしていますが、そういった方々をターゲットにしています。ユーザーさんがベストな体験をするためのテクノロジーを今回いろいろたくさん詰め込んでいるので、バリューも含め価格とのレベル感は合っているとは我々は思っています。 もちろんGPUだけではなくて、たとえば2TBのストレージだったりWI-Fi 7とか、より周辺的な機能や仕様も盛り込んでいるので、それだけの価値があると思っております。 ――Wi-Fi 7は非常に新しい技術でまだまだ世間一般に浸透していませんが、PS5 Proに導入したのはクラウドゲームやPSポータルでのリモートプレイなどのラグ軽減が目的でしょうか? 青木: ネットワーク環境というのはゲーマーさんにとってとても大事だというのは重々承知しているので、PS5もWI-Fi 6を結構早い段階で取り入れたデバイスでした。つねに最新の技術を取り組んで、クラウドだったりポータルもそうですし、デジタルゲームのダウンロードスピードとかも含めて、無線で遊ぶ方々にできるだけ速くてよい環境の提供を目指しました。 ――マーク・サーニー氏の動画によると、グラフィックモードについて、プレイヤーの4分の3がパフォーマンスモードを選んでいるとのことでした。PS5のような高画質の機種を購入するユーザーでもパフォーマンスを優先するということは、PS5で表現されるハイクオリティーなグラフィックは、ゲーマーの中ですらオーバースペックのように感じられている、という証明にもつながるのではないかと感じます。ユーザーがパフォーマンスモードを選ぶことが多いことについて、どのように感じていらっしゃいますか? 青木: さきほどもお話しましたが、残念ながらいま両立できていないというところで、ユーザーさんも喜んで選んでいるとは思っていません。むしろ苦渋の選択で選んでいると思ってます。 昨今のゲームですとコンバットとかリスポンスタイムとか、素早い反応に対応したゲームがどんどん増えているというところで 、やはり60fpsじゃないとなかなか自分が思うような操作ができないと感じるユーザーさんがより増えていると思います。 そうすると1080pとか低い解像度で遊んでいるのは、喜んで選んでいるわけではなくて、それしかないからなので、そこをよりきれいな映像で60fpsという本当にフルパッケージで楽しめるというのが、PS5 Proで提供できる価値だと思ってます。 ――今後はPSSRによって120fpsに到達するタイトルも増えるのでしょうか?: 青木: フレームレートは基本的に時間です。たとえば60fpsだと16.6msのうちにレンダリングを終わらせないといけません。そのレンダリングが4Kを描くのに16.6ms以内に収まらなかったら 30fpsになってしまうというのが現状です。 ※60fpsとは一秒間に60フレーム描写すること。1秒=1000msなので1フレームごとにレンダリングを16.6ms以内に終わらせる必要がある。 そこで今回まずグラフィックスを合計で45%ぐらい強化しました。 レイトレーシングも2~3倍速くなるので、レイトレーシングを使っているゲームはその分レンダリングが速くなります。 PSSRでたとえば2倍~4倍アップスケールするのにも時間がかかりますが、2~3msなので通常のレンダリングをするよりは短く済みます。 フレームレートが速くなる方向にいろんなものを強化しているので、ゲームの作り次第という点もあるので一概には言えませんが、60fpsや120fpもより狙いやすくなります。 ――競技シーンでPS5とPS5 Proのあいだに入力速度などの不公平は生まれませんか? 青木: 入力コントローラーの入力速度は一定になるのでありません。 ――PS4のときには、PS4の型番の進行とPS4 Proなどの発売に合わせて初期型との乖離が大きくなり、『サイバーパンク2077』ではCD PROJEKT REDからゲームのパフォーマンスに関するお詫びが出る状況になりました。今後、PS5も初期型ではパフォーマンスの発揮が難しいといった状況が生まれる可能性はあるのでしょうか? 青木: PS5世代としては、もちろんPS5でもPS5 Proでもゲームがしっかりと動作するっていうのが大前提になりますので、たとえばPS5ではいまみたいなパフォーマンス モードとグラフィックモードでユーザーさんが選択を迫られるけど、PS5 Proでは それがないという形がおそらくいちばん増えるかなと思います。 PS5だけだとどうしても両立できないので、少しパフォーマンスが下がっていると思われるかもしれませんが、いまと同じ状況にはなると思ってます。 ――PS5 Proでのブースト証明となる”PS5 Pro Enhanced”という認証が生まれたことで、デベロッパーには作業工程が増えましたが、SIEからはどのようなサポートを行っているのでしょうか? : 青木: サポートとしてはできるだけパートナーさんの作業がミニマイズできるようにさせてもらってます。たとえばPSSRでも初めて使う方だとか、どうやって使えばいいかというところは、我々のサポートチームがもう毎日いっしょに議論しながら、こうやって使うと使いやすいですよとかベストプラクティスとか、そういうのを提供してともにに開発サポートをさせていただいてます。 ――“PS5 Pro Enhanced”認証にはどのような要求を送っているのでしょうか? ゲームによって上限が60fpsだったり30fpsだったり変わっていますが、統一の規格のようなものはありますか? 青木: そこはどうしてもPS5でも違うレベルのゲームがあったりもします。一概にたとえばこれを満たしたらというのは少しアンフェアになってしまうので、それぞれに対してPS5 Proで遊んだらどうなるかというところを重視をして、ユーザーさんがPS5 Proで遊んだら楽しいな、違うな、と思えるところを判断基準にしたいと考えております。 PSSRにしても、もともとの画質がとてもよかったから違いがわかりにくいゲームもあれば、大きく変わるゲームもあるので、統一規格というのはアンフェアだと思います。 ――“PSSR”は大きな目玉のひとつですが、開発経緯やどのような点が優れているのかなどの特徴をお聞かせください。: 青木: ゲームデベロッパーが満足いくアップスケールになることがいちばん狙っていたところですね。 AMDさんとの共同開発ではありますが、マーク・サーニー筆頭にゲームチームとも話しながら、アルゴリズムとかこういうハードウェアに設計しましょうと決めました。 世の中にあるアップスケーラーそれぞれに好みだったり特徴があったりする中で、我々としては60fpsでプレイした時に、デベロッパーさんがこのアップスケーラーだったらネイティブ4Kではないけど、やろうとしていた表現が提供できると満足してもらえるレベルを目指そうというところから始まっているので、そこに特化してAMDさんともゲームチームともいろいろ試行錯誤して開発をしていきました。 ――PS5にはPSSRをダウングレードしてでも実装はできませんか? 青木: PSSRはカスタムハードウェアがないと動作せず、それはPS5 Proにしか搭載していないので、PS5には実装できません。 ――最後にPS5 Proの購入を検討されている方へのメッセージをいただけますか。 青木: ゲームをスムーズに60fpsで遊ぶのはすごく楽しいと思います。映像美とスムーズな体験をガッチャンコした最高の体験ができると思いますので、ぜひPS5 Proで遊んでいただければと思います。 PS5 ProはPCゲーマーをも魅了する次世代ゲーム機 PS5 Proは、高額な価格設定がネックとなるものの、その圧倒的なパフォーマンスはPCゲーマーである筆者をも唸らせるものだった。PSSRによるAIアップスケーリングは、画質を犠牲にすることなく高フレームレートを実現し、レイトレーシングの強化はゲームの没入感をさらに高めている。 筆者がPS5リリース時にPS5に求めていた環境がようやく実現しそうという期待には興奮させられる。 一方で、PS5 Proによるエンハンスですべてのタイトルが一目見ただけで違いがハッキリわかるほど、劇的な変化をしているわけでもない。静止画なら違いが大きく感じられるが、動き回っている最中だと画質の差は感じにくくなる。 今回は大きなテレビでプレイしたが、PCモニターなどのサイズ感でプレイしたら画質の差はより小さく感じられるだろう。 しかし、フレームレート差によるプレイフィールの違いはとても大きい。 そのためアクション系や動きの早いタイトルをプレイする方にはとても強くオススメできるコンソールに仕上がっている。 今後、対応タイトルが増えていくことで、その真価がさらに発揮されるだろう。 プレイステーション5 Proは2024年11月7日(木)から販売開始。価格は11万9980円で、9月30日(月)10時より予約受付が順次開始される。