新人6人の争い濃厚 激戦の様相/十和田市長選告示まで1週間
任期満了に伴う十和田市長選は、12日の告示まで1週間となった。現時点で新人6人が立候補を表明。現市政の与野党対決の構図に自民対非自民、既存勢力対市民団体といった要素が加わり、16年ぶりの市政トップ交代を巡る争いは激しさを増している。投開票は19日。 立候補を予定するのは、市議会副議長の櫻田百合子氏(57)、市民団体「住みやすい街作りを考える会」代表の沢橋幸治氏(63)、市民団体「十和田バラ焼きゼミナール」舌校長(ぜっこうちょう)の畑中宏之氏(61)、前副市長の西村雅博氏(70)、市民団体「十和田新生文明事業/創造の会」代表の庄子弘幸氏(70)、元コンサルタント業の加藤武彦氏(80)。このうち知名度や組織力などの点から、櫻田、畑中、西村の3氏が戦いの軸になるとみられる。 小山田久市長の実質的な後継者で、自民党の推薦を受ける櫻田氏。市議会(定数22)では、自民系で市政与党系の10人が支援団を結成。代表の小川洋平市議は「12~13人の市議の協力が得られると思う」と語る。 各種商工団体の応援も受け盤石の体制に見えるが、櫻田氏や関係者は「厳しい戦いになる」と気を引き締める。西村陣営による現市政批判の矛先が向いているのに加え、交流サイト(SNS)などを駆使した畑中陣営の戦い方も支持の浸透具合が読みづらく、警戒する。 西村氏は、2021年に副市長を辞職し決別した後の小山田市政を「課題を先送りし、しがらみと自己保身が目立つ。決断できない市政運営だ」と痛烈に批判。陣営は櫻田氏の強固な支援体制についても「自民や特定の団体に担がれているだけ」と強調。市民のための市政刷新を訴え、現市政に不満を持つ層の取り込みを進めている。 市政野党系市議5人が応援につき、総決起大会では立憲民主党の田名部匡代参院議員ら非自民系の来賓がエールを送った。 一方、畑中氏は以前から自民党籍を持つにも関わらず、昨年11月に党籍を得たばかりの櫻田氏を自民が推薦したことを受けて「既存の政党・団体と市民の戦いという構図が明確になった」と主張。団体や市議らの支援を受けず独自の戦いを進め、無党派層を中心に票の掘り起こしを図る。 市民との対話集会などでは、動画で舌校長としての15年のまちづくり活動や政策を紹介、自身のホームページに定期的にコラムを投稿するなど積極的に情報発信している。 ゼロ歳児からの保育料無償化などを訴える沢橋氏、「子ども大使館」構想などを掲げる庄子氏、小児難病医療センター開設などを唱える加藤氏は、地元の集会に顔を出したりしながら、それぞれ浸透に励んでいる。