「メリークリスマス」と言うのはマナー違反? 日本人女性が驚いたイギリスとフランスとの違いとは
この時期によく耳にする「メリークリスマス」のあいさつ。実は、海外ではあまり聞かれない言葉のようです。日本からひょんなことからイギリスに移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが、外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第50回は、クリスマスのあいさつについてです。 【写真】クリスマスシーズンは家のデコレーションを見るのも楽しい 実際の様子 ◇ ◇ ◇
街中では「メリークリスマス」を聞かない?
日本で、クリスマス当日やパーティーの際に「メリークリスマス」とあいさつしたことがある人は多いでしょう。テレビコマーシャルでも、出演者が声をそろえて「メリークリスマス」と言っていたり、クリスマスグッズに英語で書いてあったりして、クリスマスシーズンになると、この言葉を見ない日はないほどです。 しかし、これは日本のユニークな習慣のひとつかもしれません。実は、イギリスに住んでいたとき、「メリークリスマス」という言葉を聞いたことはそれほどありませんでした。 もともと、クリスマスはキリスト教徒が祝うもの。イギリスにはヒンドゥー教やイスラム教、ユダヤ教、そして仏教など、さまざまな宗教背景を持つ多民族が住んでいます。そのため、「メリークリスマス」はそぐわないという理由から、だんだんと薄まってきたようです。 それはビジネスにも関係してきます。私が勤めていた多国籍企業にも、社内にはさまざまな国籍や人種、宗教の人がいました。そのため、社外・社内コミュニケーションで発するメッセージは、一貫して「Happy Holidays」や「Season's Greetings」でした。日本でなにげなく聞いたり、使ったりしていた言葉がポリコレに発展するのだなと、最初の頃は驚いたものです。 ただし、プライベートでは、そこまで神経質になっていませんでした。もちろん、相手がキリスト教でないことが明らかな場合は避けますが、「メリークリスマス」と言って何か問題に発展したことは、幸いにもありません。
フランスでも同じ動きが
そうした動きは、フランスも同じようです。フランス語で「メリークリスマス」に該当するのは「Joyeux Noel」ですが、その代わりに使うのが「良いお祝いを」という意味の「Bonne fete」。 この時期は、スーパーマーケットやお店でショッピングをしていると、いろいろなところで声をかけられます。ただ、こちらもそこまで神経質ではないので、私が明らかにキリスト教ではなくとも、普通に「Joyeux Noel」と言ってお祝いし合うことも。 このような文化や習慣の違いへの理解について、私たちが少し疎いように、実はあちらも同じ。日本や韓国が旧正月を祝っているのかというテーマはよく話題に、そして問題にもなりました。 日本では一部を除いて「旧正月は祝わないよ」と伝えても、またその次の年に「春節おめでとう!」と言われることがしばしば。アジア人というだけで、やはりみんなひとくくりで考えられてしまうようです。そして、世界でどれだけ旧正月が浸透しているのかと、気づかされたタイミングでもあります。 ただ、フランスの田舎に移ってからはそういうこともなく、逆に正月や旧正月の存在すら知らない人たちだらけです。そのため、「日本でもクリスマスを祝うし、新年に祝う正月は一番の盛り上がりなんだよ」と言うと驚かれることも。そして、日本の独特なクリスマスの過ごし方を伝えると、こぞって「リラックスできていいわね~」と返答しました。 「隣の芝生は青い」というのは、確かなようです。
Moyo