【虎になれ】5割逆戻りの阪神 今回の“開幕戦”は1番近本光司、4番佐藤輝明でどうだ
期待のビーズリーもソフトバンク打線に通用せず、阪神は福岡で連敗。交流戦は5勝11敗となり、リーグ戦復帰前の最低ラインとも思える「1勝2敗ペース」を下回った。これで勝率5割に逆戻りし、セ・リーグでの順位も4位に転落。苦しい状況だ。 それでも能天気と思われるだろうが、あえて言わせてもらえば打線の“逆襲態勢”は整ったような気がしなくもない。それは慣れない「4番打者」で苦しんでいた近本光司を1番に戻し、4番に佐藤輝明を入れたことから感じるのだ。 2-6の完敗だが、安打数だけで見れば阪神はソフトバンク打線を上回る8安打を放った。「ヒット出えへんもんな」と口癖になっていた指揮官・岡田彰布だが、とりあえず、この日、安打は出たのだ。 ソフトバンク打線は6安打中、2本が本塁打なのでこの得点差になるのだが、この試合だけ見れば「そりゃ、こういう日もあるよ」という気はする試合だ。 やはり「4番・近本」を見直した点は大きいと思う。経験から積み上げてきた独自の野球理論を持つ岡田にとって「4番」の意味は大きい。なによりチームの中心、顔でなければならない、というポリシーだ。 岡田の監督就任時から託すことを決めていた大山悠輔が不振に陥り、ファームにいる。その“代役”としてピックアップしたのが近本だった。本来なら佐藤輝明が打てばいいのだが、こちらも不調が続く。 大物打ち期待という面では森下翔太もいるが、なんといっても若い。もちろん「顔」としての意味だけでなく打撃面の調子も考え合わせて、近本が「109代4番打者」として今月1日に誕生したのである。 だがタイプというか雰囲気が、どうも違うような気はする。実際、前日まで4番近本の成績は12試合で46打数10安打の2打点と1番だった時のそれに及ばない。独断で言わせてもらって、やはり、なじみの1番がいいと思うのだ。 「昨日は左(投手)やしな。きょうは右やし」。打順について聞かれた岡田はそう話した。あくまで前日はスタメン落ちだった佐藤輝を起用するに当たっての並びだったということだろう。理想型で固められないのは事実だ。それでも、大山不在のいま、これが一番しっくりくる気はする。これで5割。今季何度目かの“開幕試合”もこれでいくのではないか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)