日本ラグビー伝道師として新たな歩み 「小さな巨人」田中史朗、未来へつなぐ想いとは
■コミュニケーションの重要性を子どもたちに…
これまでは誰もが知る日本のトップ・プレーヤーだったが、アカデミーのコーチとしてはまだ1年生。そのため、雑用からトレーニングの準備まで新人の田中選手の仕事だ。だが、プレーヤーの時もコーチになってからも、大事なことは変わらないという。 田中選手 「一番はやっぱり楽しむことですね。まず、子どもたちがラグビーを好きになってくれること。4年生から5年生、5年生から6年生と学年が上がるごとに、アカデミーが嫌だってなるのは絶対だめなんで。来年もラグビーをしたいという思いになってくれるような、そういう楽しさを個人で持ってもらえるように教えたいなと思っています」 子どもたちと同じ目線で、楽しみながらラグビーを教えることをモットーにしているという。新人コーチの田中選手は、教え子たちからどんな印象を持たれているのか? アカデミーの生徒 「自分ができないところを補って、優しく教えてくれるコーチです」 「選手の時の経験を自分たちに教えてくれて、ジョークを挟みながら面白おかしく、真面目に教えてくれる大事なコーチ」 もはや友達のような距離の近さは子どもたちからの信頼の証。先輩となるアカデミーのコーチも、田中選手のコーチぶりには驚いているようだ。 日本代表 22caps NECグリーンロケッツ東葛 強化・育成チームリーダー 浅野良太チームリーダー(45) 「田中コーチは、何より自分が楽しんでいる。この楽しむという姿勢が、子どもたちにも伝わって、それが良い雰囲気になっていると思います」 グリーンロケッツアカデミー 櫻谷勉代表(40) 「むちゃくちゃ丁寧だと思います。分かりやすく伝えようと意識してるんじゃないかなと。世界でやってると高度な技術は求められると思いますが、噛み砕いて子どもたちに伝わりやすいように意識していて、私も学べるところはたくさんある」 NECグリーンロケッツ東葛 アッシュ・ディクソンHO(36) 「フミはニュージーランドでプレーし、世界中を旅してさまざまなスタイルを見てきたから、多くの知識を身に着け、日本で多くの人々から尊敬されている。なので、彼は日本の選手たちに高い洞察力を伝授することができる」 コーチングの評価も上々。トップレベルで戦うためにはコミュニケーションが最も重要になることを、田中選手は子どもたちに伝えていた。 田中選手 「現役だった頃でもプレー中常に声をかけて。声で周りを動かしたり、チームを鼓舞することがチームに良い影響を与えてきたので。今、子どもたちをコーチするにあたって、声を出してコミュニケーションを取ることが、子どもたちにとって喜びになりますし、褒めてあげることが、コーチングをして子どもたちが楽しんでくれている一つかなと思います」