「これって地球外生命体!?」海岸で発見された、“ミステリアスな青い海洋生物”に話題騒然「あまりに美しい…」
アメリカやイギリスの海辺で「ミステリアスな物体」が発見されている。 大きさは直径10cmほど。コバルトブルーの部分と透明な部分があり、指紋のような模様も見える。神秘的な美しさから「宇宙から落ちてきた?」「エイリアン!?」と発見者たちを喜ばせ、写真を撮ってSNSに投稿する人が多い。 【画像・動画】美しい!“ミステリアスな青い海洋生物”
アメリカではオレゴン州からカリフォルニア州にかけて、イギリスではガンジー島の西海岸とオルダニー島の一部の海岸等で多数見受けられている。 この不思議な形の物体の正体は「ヴェレラ・ヴェレラ(Velella velella)」という名の海洋生物。日本名は「カツオノカンムリ」、英語では「By-the-wind-sailor(風にのってきた船乗り)」という詩的な名でも呼ばれている。
「ヴェレラ・ヴェレラ」はヒドロ虫綱クラゲ目ギンカクラゲ科に属するクラゲの一種である。寿命は数カ月と言われ、生涯のほとんどを外洋で過ごす。通常は楕円形の気泡体(水辺板。縁が青く、中心部は透明)の上にある三角形の透明な帆で風を受け、海面上を移動しながら生息している。気泡体の下部に栄養体と触手があり、カイアシ類、魚の卵、プランクトン等を捕獲する。
春の強風にのって海岸に打ち寄せられることが多いが、コロニー(生物集団)を形成する生物であるため浜辺で「何千」という単位で発見される。海面に浮かびつつ、潮風を受けて移動するコバルトブルーの生物。その光景を想像すると、大変幻想的だ。
いまだ分からないことが多い「未知の生物」
この海洋生物が初めて記録されたのは1758 年だが、現在も未知の部分が多いという。生息地が広く「海面に生息する」という特殊な生活環を持ち、加え飼育が難しい生物だからだ。LA Timesによると、カリフォルニア大学サンディエゴ校(スクリップス海洋研究所)博士課程学生に在籍中のアーニャ・スタジナーさんは昨年「ヴェレラ・ヴェレラ」を採取して飼育を試みたものの、すべて研究室で死んでしまったという。 ワシントン大学の海洋生物学者ジュリア・パリッシュ教授もこの海洋生物の生体を明らかにしようとしている一人だ。2021年、彼女のチームは20年間の収集データをもとにした論文を発表した。これによると冬が通常より暖かかった年に「ヴェレラ・ヴェレラ」の大量漂着現象が発生する可能性が高いことが分かったという。