森保ジャパンで株上昇…J→渡欧27歳がエースへ名乗り 評価高騰した“日本の5人”【コラム】
冨安&伊藤が不在の間に…ベルギーで飛躍の町田が守備の要として君臨
■町田浩樹(DF:27歳) アカデミーから育った鹿島アントラーズを飛び出し、ベルギーのタフな環境で1対1の強さとメンタリティーを高めて、カタールW杯後の第2次森保ジャパンに定着していった。それでも当初は準主力的な位置付けだったが、森保監督が今年6月から3バックを本格的に導入したこと、また最終ラインの柱として期待される冨安健洋や町田と同じ左利きの伊藤洋輝が負傷により、最終予選で招集外が続く状況にあって、板倉滉とともに6試合すべてフル出場を果たし、6試合2失点という結果に導くなど、押しも押されもせぬバックラインの要となった感がある。 守備はもちろん、ビルドアップでもロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズの元同僚である三笘はもちろん、守田や鎌田大地をサポートして、得点の起点としても圧倒的な勝利を支えている。主力の多くが欧州で着実にステップアップを果たすなかで、町田はベルギー3シーズン目となっているが、その間にクラブの成績が上向き、現在はUEFAヨーロッパリーグも経験できている。11月の代表ウィーク前にはベルギーリーグで首位のゲンクに4-0で勝利する立役者に。ここから北中米W杯に向かっていく1年半のうちに、満を持して5大リーグにステップアップを果たすことができれば、冨安や伊藤が復帰してきても守備の要として君臨し続けられるかもしれない。 ■守田英正(MF:29歳) 第1次森保ジャパンから中盤の主力を担っていたので、今年評価を高めた選手として取り上げることに異論があるかもしれない。ただ、存在感という基準では間違いなく昨年より上乗せされており、キャプテンの遠藤航と同等、戦術的には最も欠かせない選手の1人になってきている。森保監督は攻守の大枠をチームで共有しながら、ディテールは選手の個性や判断を尊重する傾向が強い。その中で、守田は周囲で組む選手の特長やマインドを見極めながら、生かし、生かされる関係を構築している。 ビルドアップで中心的な役割をこなしながら、最終予選ではアウェーのバーレーン戦で2ゴールを奪うなど効果的な攻め上がりからフィニッシュにも絡んでおり、3-4-2-1の攻撃に変化や厚みをもたらす存在として、幅広くチームを支える。守田がいることで、個性的なタレント揃いの2シャドーやウイングバックがオプションを増やしていける向きもあるだけに、ここから1年半で彼自身の成長もそうだが、カタールW杯のような怪我やコンディションの不安がなるべく、無事に本大会を迎えてほしいという願いもある。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji