「パティシエ・シマ(PATISSIER SHIMA)」(麹町)スペシャリテ「クレーム アンジュ」の秘密と麗しの洋栗と和栗のモンブラン
口の中で心地よく広がるフランボワーズの風味
そして味わいはチーズの酸味がふわっと心地よく、ビスキュイにフランボワーズのソースをしみ込ませているので口に入れた瞬間にじゅわっとその甘酸っぱさが広がります。もともとはアンジュの地で皿盛りの状態で出されていたものをテイクアウトできるよう、この仕立てに行き着いたそう。 手土産にもぴったりなこちら、ぜひ一度食べて欲しい逸品です。
洋栗と和栗、異なるアプローチでモンブランの新しい美味しさに出会う
本題のモンブランは2種類。洋栗のモンブランは、お父様と島田シェフが大好きだったという「アンベール」のマロンペーストと、そこに合わせるのは北海道の生クリーム。 この「生クリーム」一つをとっても島田シェフのこだわりがつまっています。北海道産といっても、その場所は釧路の上に位置する浜中町。浜中町は、牧草地が広がり自然豊かな地で、その牧草を食べて育った牛のミルクは、ミルク本来の風味をしっかり感じさせる美味しさ。その美味しさに惚れて島田シェフがこだわって選んで使っています。さらにここ浜中町は海風が吹くような風土。それがまるでノルマンディーの風土にも似ている、と島田シェフは言います。 そして最後に加えるのはお父様が使っていたラム酒ではなく、コニャックである「ヘネシー」。実は島田シェフはワインエキスパートの資格を取得。その時にワインの勉強をする中で、「お酒」と「食材」2つの要素と向き合うことに。例えばラム酒と栗が一般的だったけれど、もっと違う組み合わせはないだろうか? こうして2つの要素を探求していく中で出会ったのが黒糖のような香りと、樽がもたらすバニラのような風味が特徴的なコニャック「ヘネシー」だったそう。 和栗は四万十川の栗。そこに洋梨のババロアと、合わせたはメレンゲではなくタルト。島田シェフが大好きだったというタルトのモンブランを表現しています。和栗と洋梨、一見相反するように見える組み合わせは絶妙な点と点で結びつき、和栗の繊細な香りに、洋梨が輝きを与えてくるようなインパクトです。ぜひ食べ比べて欲しい二つのモンブランでした。