高卒と大卒では生涯年収が「1億円」違うと聞きました。生活が苦しいのですが、子どもに奨学金を借りさせてでも進学させた方が将来的にはよいのでしょうか?
進路を選ぶ際には、子どもの将来の収入や生活の安定を考える一方で、家庭の経済状況が判断に影響を及ぼすこともあります。大学進学には大きな費用がかかるため、奨学金の利用を検討する家庭も多いでしょう。しかし、奨学金は負担になる側面もあり、本当に進学が最良の選択なのか迷うこともあるはずです。 本記事では、進学による生涯収入への影響や、奨学金のリスクとメリットを整理し、家庭の状況に応じた現実的な選択肢を探るためのヒントをお伝えします。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
高卒と大卒、生涯年収の差は本当に1億円?
高卒と大卒では、生涯年収に大きな差があるといわれています。(独)労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計 2023」によると、以下のようなデータがあります。 生涯賃金(定年まで、退職金を含めない、2022年) <男性> ・高卒:2億300万円 ・大学卒:2億4740万円 <女性> ・高卒:1億4920万円 ・大学卒:1億9800万円 ※学校を卒業してすぐに就職し、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける場合(同一企業継続就業とはかぎらない)。 これらのデータは、企業規模や職種によっても異なりますが、一般的に 1億円程度の差 が生じることが多いといわれています。この差は、初任給の違いに加え、昇給や管理職への昇格のしやすさが影響していると考えられます。 ただし、年収だけではなく、職場環境や働き方、自己実現の機会も考慮することが重要です。高卒でも専門職や技能職で成功を収める人は多く、大卒だからといって必ず高収入というわけではありません。
奨学金を借りて大学進学するメリットとリスク
大学進学における奨学金の利用は、家庭にとって大きな決断です。そのメリットとリスクを整理してみましょう。 <奨学金のメリット> 1. 初期負担が軽減される 家計が厳しい家庭でも、子どもが大学教育を受けられる可能性が広がります。 2. 将来の選択肢が増える 大卒資格により、就職先や職種の選択肢が広がります。企業によっては、学歴を重要視する採用基準を設けています。 3. 教育への投資効果 大卒資格の取得によって、将来的な収入増加につながる可能性が高まります。 <奨学金のリスク> 1. 返済負担 (独)日本学生支援機構(JASSO)によると、奨学金の平均返済額は月1万円~2万円程度。返済が20年続く場合もあり、経済的な負担になる可能性があります。 2. 職業選択の制約 奨学金の返済義務があると、低収入の職業や自由度の高いキャリアを選ぶのが難しくなる場合があります。 3. 経済的トラブルのリスク 万が一、返済が困難になった場合、信用情報に影響を与える可能性もあります。