阪神の鳥谷はなぜ虎ファンの熱烈な支持を集めるのか?
3日の西武戦の試合前のシートノックで鳥谷は三塁に入っていた。ロサリオが登録抹消され、陽川が上がったが、一塁の候補が、大山、陽川、中谷、原口であることを考えると、当然、鳥谷三塁という選択肢が浮上してくる。こういうケースを見込んでの準備だったのだろう。だが、封印していた鳥谷三塁が、52試合目にして解かれたとなると「そもそも論」を議論せざるをえない。2年目の大山へポジションを与え、ゴールデングラブ賞を獲得した鳥谷を二塁へコンバートさせた金本構想の是非だ。 鳥谷はシーズンを通して常にランキングトップ争いするほど四球を選び、守備の貢献度も含めて、終わってみれば数字を残すトータルプレーヤーである。短いスパンでの調子の良し悪しだけで判断するようなプレーヤーではない。51試合でたった15本しかヒットが打てていないが、そこには“たられば”の余地は残る。 金本監督の断行した起用法の問題点は、若手にポジションを無条件で渡してチームから「競争の原理」を排除したことにあると思う。最善を求めてチームの形が変わっていくのは当たり前のことで、何も“ぶれ”や“見通しの甘さ”を批判するつもりはない。問題は、そのプロセスにあるのではないか。 だが、一方でこんな意見もある。阪神OBで評論家の池田親興さんはこう言う。 「金本監督の当初の思惑とは違う形になっていることは確か。鳥谷の三塁は苦肉の策だろう。鳥谷は記録がストップしたが、ベテランらしく、それを引きずらないで、うまく気持ちを切り替えた。だが、キャンプで大山三塁、鳥谷二塁のコンバートが決まったとき、異を唱えた声はあったのだろうか。若手育成の必要性と、鳥谷がオープン戦を通じて調子が上がらなかったこともあって誰もが納得していたと思う。期待された大山が何してんねん!という話で、そこで金本監督の考え方を批判するのは後出しジャンケンだろう」 確かにネット上で金本監督が一方的に叩かれるのにも見当違いな面がある。 鳥谷が、なぜファンから熱烈支持されるのか?というテーマからは、ずいぶんと、横道にそれてしまったが、鳥谷はプロとしてファンの声援を意気に感じてトータルで結果へとつなげていかねばならない。そして、激励の意図が込められた声援ではなく、打てないときにブーイングされる打者でこそ、本物の生え抜きのスターであることを忘れてはならないだろう。