阪神の鳥谷はなぜ虎ファンの熱烈な支持を集めるのか?
この日、そのことをインタビュアーから聞かれた鳥谷は「ほんとに、ありがたいというか、なかなか結果が出ない中で、この声援は力になった。感謝しています」と答え「1939試合」の連続試合記録がストップした後に激励のように続く声援に「個人的な記録なので、どうってことはないんですが、ファンの声援はありがたく思っています」と続けた。 なぜだろう。ファンはなぜ鳥谷の登場に熱くなるのだろう。 今季51試合で打率.179、7打点と低迷している鳥谷をなぜ熱烈に支持するのだろうか。 ネットへのファンの書き込みを見ると、その理由の一端がわかる。 「去年大活躍だった鳥谷をコンバートして大山に無条件でレギュラーを与えた金本監督の策は失敗だった」 「済んだ事を言っても仕方ないが開幕から鳥谷がサードでスタメン出場していたら連続試合出場記録も途切れてないだろうしチーム状態も今よりは良い状態だっただろう」 昨年は、オープン戦が始まる前に北條とのショート競争に鳥谷が負けたと判断され三塁へのコンバートを命じられた。鳥谷は、そこで奮起、ゴールデングラブ賞まで取ったが、今季は、キャンプ早々に「大山・三塁」ありきで、金本監督が、鳥谷に説明して二塁へとコンバートされた。 そして、開幕第2戦で巨人が左腕の田口を持ってくると鳥谷はスタメンを外されて上本が起用され、今季の立ち位置を示されることになった。北條がレギュラーに定着し大山が結果を残していれば、これらの“人事異動”は、「時代の流れの先取り」と評価されていただろう。だが、結果は逆に出ている。 その不遇とも言える鳥谷の起用法への不満と同情めいた感情、そして激励の思いがファンには少なからずあるのだろう。コンプライアンスがうるさくなった昨今、社会では上司のパワハラへの監視の目は鋭いが、左遷や配置転換という不遇は消えやしない。どんな境遇に置かれても、ベンチの起用に文句ひとつ言わず黙々とプレーする鳥谷の姿に、自らを重ねて共感を覚える人たちが多いのではないか。関西には、そういう権力に抑え込まれたものへの反発をエネルギーとする反骨の精神が土壌として根づいている。対東京、対巨人へのライバル心も然り。しかも鳥谷はチーム生え抜きのスターである。