“見ない日はない性格俳優”大泉洋の豊富なキャリアが垣間見える…映画『ディア・ファミリー』で見事にハマった「手堅い演技」
菅野美穂らの誰もが“支えるポジション”に
本作で主眼が置かれているのは、宣政たち家族が紡ぐ“愛の物語”だと先述しました。とはいえやはり、その核となるところには彼の奮闘があります。そのためには家族だけでなく、多くの人々の支えが欠かせません。この作品は人々の“支え合い”を描いたものだともいえるのです。 妻・陽子役の菅野美穂さんは、いつだって宣政の挑戦に明るくついていく人物像を立ち上げ、坪井家の精神性を体現。心臓疾患を抱える次女・佳美には『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022年)の福本莉子さんが扮し、絶望的な空気さえも浄化する清らかな演技が好印象です。 さらに、坪井家の三姉妹の長女を川栄李奈さんが、三女を新井美羽さんが演じているほか、上杉柊平さん、徳永えりさん、満島真之介さん、戸田菜穂さん、有村架純さん、松村北斗さん(SixTONES)、光石研さんらが出番の多寡に関わらず、宣政と特別な関係を持つ重要な役どころを担っています。 血縁関係のない彼ら彼女らの存在も、広くいえば本作の“家族”だと呼べるものでしょう。そんな作品の中心に立っているのが、大泉洋さんというわけです。
大泉洋とは、見ない日はない性格俳優
もはや見ない日はない――そんなふうに思える俳優がいます。演技者としての技量ももちろん重要ですが、世間での支持率と作り手たちの間での支持率がともに高くなったとき、特定の俳優は“見ない日はない存在”となるのです。 本作で主演を務めている大泉さんは、日本でも屈指のそのような存在なのではないでしょうか。ここ10年ほどの活躍にフォーカスしてみると、朝ドラ『まれ』(2015年/NHK総合)にヒロインの父親という重要な役どころで出演しており、日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(2019年/TBS系)で単独主演を務め、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年/NHK総合)では源頼朝役に。 『青天の霹靂』(2014年)、『駆込み女と駆出し男』(2015年)、『アイアムアヒーロー』(2016年)、『恋は雨上がりのように』(2018年)、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年)……と、ほとんど年に一本以上のペースで主演映画が公開されてきました。 『新解釈・三國志』(2020年)では豪華キャスト陣を率いて作品を大ヒットに導き、世界中で配信された『浅草キッド』(2021年/Netflix)も大きな話題を呼びました。今年は、4月の封切りから観客動員数と興行収入を伸ばし続けているビッグタイトル『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』に声優として参加。日常的に流れる広告なども含めると、大泉さんに触れることのない日のほうが珍しいというものでしょう。 その活躍ぶりはジャンルレス。なおかつ個性の強い役どころで、これまで多くのヒット作に貢献してきました。日本トップクラスの性格俳優であり、主演を務められる存在でもあるわけです。