《後悔しない「白内障」の手術》眼内レンズは生活スタイルに合わせて種類を選ぶのが重要、再手術はリスクが高く体に負担
どんな生活を理想とするか
やはり、治療費は高くても高機能なレンズを選ぶほどいいのだろうか。平松医師が話す。 「単焦点レンズは遠距離、中距離、近距離のいずれかしかピントが合わないので、術後も基本的には眼鏡が必要です。しかし、しっかり見やすいレンズであるため、一般的には単焦点でいいと思いますが、一方、眼鏡をかけたくない人は、多焦点レンズを選んでください。 選定療養の多焦点レンズは眼鏡なしでもある程度見えます。たくさんの人が入れているので、トラブルが起こった場合に対処がしやすいというメリットもあります。ただし、多焦点は濃淡のコントラストが低下したり、光がにじむ『ハロー』や花火のように見える『グレア』などの現象が起こることがあるのも知っておいてください。 一方、自費診療の最先端のレンズは5焦点のものなど一般的に選定療養のレンズより多少性能が優れているのではといわれています。ただし使用実績が少なく保険治療ではないので、トラブルが起きた場合には対処が難しい場合があります。手術を受けるならこういった点をしっかり説明してくれるかどうかを医師選びの判断基準のひとつにしましょう」 また、眼内レンズの種類は生活スタイルに合わせて選ぶことも重要だという。白内障や近視矯正手術を専門とするクイーンズアイクリニック院長の荒井宏幸医師が話す。 「レンズが合わなかった場合は再手術をすれば交換できますが、レンズが水晶体嚢と癒着したりしているので、それなりにリスクの高い手術になります。 一度で手術を済ませるためにも、自分がどんな生活を理想としているのかをしっかり医師に相談してください。たとえば運転やゴルフができれば、あとは眼鏡をかけてもいいというなら、遠距離に焦点の合ったレンズでいい。でも、アウトドアより手元の細かい作業や読書が好きという人は、中距離または近距離に焦点の合うレンズの方がいいでしょう。 単に高性能のレンズを入れればいいというわけではないので、話し合いに応じてくれる医師が安心。医師としっかり話し合うことが、白内障の治療で後悔しない秘訣だと思います」 (第4回につづく。) レポート/鳥集徹(ジャーナリスト)と本誌取材班 ※女性セブン2024年11月7日号