《後悔しない「白内障」の手術》眼内レンズは生活スタイルに合わせて種類を選ぶのが重要、再手術はリスクが高く体に負担
年を重ねると、体のあちこちにガタがくる。なかでももっとも老化を感じ、日常生活に支障をきたすのは視力の衰えや目の病だろう。老眼は等しく訪れ、予防法もない。白内障はいまや80代になればほぼ100%の人がかかるといわれる。「見えない」ことは仕事や家事の手も妨げ、読書や刺繍など趣味も奪い、認知症など病のリスクをもたらす。そんな恐ろしい老化現象に寄り添い、治療してくれる名医を探そう。ジャーナリストの鳥集徹氏と女性セブン取材班がレポートする。第3回では「白内障」について紹介する。【全4回の第3回。】 【一覧表】名医が選んだ眼科の名医リストをぜんぶ見る
手術のタイミングは?レンズ選びは?
誰もがいつか老眼鏡のお世話になるのと同じように、白内障も進行すれば、いつかは「眼内レンズ」を入れる手術を受ける必要が出てくる。 白内障の手術はまず、白く濁った水晶体を超音波で砕き吸引する。そして薄く残った水晶体の膜の中に、人工の「眼内レンズ」を入れるのが一般的な方法。手術を受けるタイミングについて二本松眼科病院副院長の平松類医師が話す。 「まず、絶対に急いだ方がいいのが、生活に支障が出たときです。外を歩くのが困難になったとか、眼鏡をかけても視力が0.1くらいにしか矯正できなくなった場合。それから、真ん中が白くなる『核白内障』というタイプは近視が急激に進み、眼鏡を作り替えても追いつきません。ですから、急いで手術した方がいい。 一般的には、ご本人が見え方に不自由を感じているかどうか。『手術は怖いな』と思う人は、運転免許に必要な視力でもある矯正視力が0.7を切ったときがひとつのタイミングかもしれません。早すぎる手術は術後の満足度があまり高くないですが、遅くしすぎると手術が難しくなってしまいます」 白内障の手術を受ける場合には、どのような眼内レンズを選ぶかも重要だ。眼内レンズには大きく「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」がある。「単焦点レンズ」は特定の距離だけがよく見えるように設計されたレンズで、健康保険が適用されるため3割負担の場合、両眼で6万~9万円となる。 一方、「多焦点レンズ」は、遠距離、中距離、近距離に合うよう設計されたレンズだ。2020年4月からは手術代だけが保険適用になり、レンズ代は自費で支払う「選定療養」でも受けられるようになった。選べるのは国内で承認されたレンズに限られ、レンズ代と手術代を合わせて両眼で40万~80万円程度が一般的。 もう1つ、国内では承認されていない最先端の多焦点レンズを使う「完全自費(自由診療)」のクリニックもある。この場合の費用もレンズの種類や医療機関によって異なるが、両眼でレンズ代、手術代を合わせて百数十万円以上するケースが多いようだ。