女子野球は「W杯7連覇」でも注目されなかった。田中美羽選手が感じる「女性のスポーツ参加」の障壁
女性スポーツについて考えるトークイベントが10月18日、東京都内で開かれ、女子野球日本代表の田中美羽選手が「ワールドカップで7連覇しても注目されない。どうやったらメディアが取り上げてくれるのか」と問いかける一幕があった。 【イラスト】「C騎手勝利、左手指輪きらり」女性の参入障壁を感じるニュースサイトの見出し イベントは「女の子のためにスポーツを変えるウィーク-COACH THE DREAM-」。女子のスポーツ参加への障壁をテーマにしたトークセッションに、田中選手やスポーツとジェンダーに詳しい中京大学スポーツ科学部の來田亨子教授らが登壇した。 來田教授がトークの冒頭、女子のスポーツ参加を阻む障壁を解説。 「女の子はこんなスポーツイメージの中で暮らしている」として、2024年7月のウェブニュースで、トップに扱われたスポーツ記事の見出しを並べた。 2日間の計16記事のうち、女性アスリートを取り上げたのはわずか3つだったと紹介した。 女性アスリートに関する3記事のうちの一つが「C騎手勝利、左手指輪きらり」。この見出しについて來田教授は、スポーツや競技でない部分が取り上げられている例だと指摘。 また「男子K選手のいとこ新記録」という別の見出しに触れ、こう疑問を呈した。 「いとこの部分だけを見たら、女性の選手かどうかも分からないし、この選手が“本物のアスリート”として扱われていないということが分かってしまう」 「こういうイメージの中で、女の子たちは自分にとってスポーツが身近なもの、やっていいものと感じるだろうかというと、なかなか難しいのではないかと思います」 來田教授の説明を受けて、田中選手は女子野球のメディア露出や取り上げられ方に対して、課題や葛藤を感じていると明かす。 「女子野球がワールドカップ7連覇をしても、それがどうしてもメディアで注目を浴びることがなくて、どうやったらメディアが注目し、メディアが取り上げてくれるんだろうか」 女子野球の日本代表は、今夏に開かれたワールドカップで優勝し、大会7連覇を達成。世界ランキング1位につけている。実績は十分だが、男性カテゴリーばかりが取り上げられるという現状もある。 話題づくりや競技普及のあり方に関しても「プレーを見てもらいたいけど、女子だから踊ったらとか、歌ったらと言われることもすごくあるので、葛藤があります」と打ち明けた。 続けて來田教授は、女性スポーツの発展におけるメディアの役割について、次のように指摘した。 「知らない間に、メディアから見てねと言ってもらえる情報しか見なくなっている。ウケる・売れる・みんなが見たいものだけでなく、見られるものを作り上げていくという気持ちで一緒に女性のスポーツの発展に取り組んでもらえるよう、メディアに働きかけをしていく。これが大事なことの一つだと思います」