秋空の下、12万人の熱気 宇部まつり、「炭都」の歴史を未来へ【宇部】
宇部市最大規模の祭り「第73回宇部まつり」が3日、平和通りや常盤通り周辺で開かれた。心配されていた雨も上がり、秋晴れの下で市民らが南蛮音頭やよさこいのパレード、総踊りなど会場各所でパフォーマンスを繰り広げた。12万人(主催者発表)が来場し、市街地一帯は熱気に包まれた。 今年は1934年に炭都祭としてスタートして90年の節目。同まつり実行委員会の柳田英治委員長(宇部観光コンベンション協会会長)は「市民の心を一つにするという目的で始まった行事。脈々と受け継がれてきた宇部のパワーと歴史を感じながら楽しんでほしい」とあいさつした。 祭りは、宇部発展の礎を築いた石炭に見立てた黒い風船のバルーンリリースで幕開け。先人への感謝と未来へ歩み続ける願いを込め、開幕宣言とともに73回目の開催にちなんだ730個を一斉に空へ放った。 目玉企画として、1980年代に大ヒットしたハリウッド映画に登場する自動車型タイムマシン「デロリアン」が展示された新川大橋には、開場前から長い待機列。劇中ではごみを燃料に走るデロリアンを通して、循環型社会の実現を目指す市の取り組みをPRする企画。来場者は映画で使用された実物と同じ仕様に「本物だ」「すごい」と歓喜しながら1組ずつ順番に撮影や試乗を満喫していた。 常盤通りのパレードでは、総勢2500人が南蛮音頭などに合わせて踊りながら華やかに練り歩いた。祭りのシンボル曳山(ひきやま)のパレードには、押手や曳手として老若男女約200人が参加。道中、第32代曳山頭の牧野共明さん(見初)が石炭餅を奉納し、篠﨑圭二市長らが来場者に手渡しで振る舞った。 平和通りではキッチンカーや屋台など70店以上が軒を連ねる「宇部マルシェ」があり、多くの家族連れが祭りグルメを堪能していた。 市民パレードなどの17団体を対象にしたコンテストの最優秀団体には、迫力のよさこいで会場を沸かせた長州南蛮連(時広隆明代表)が輝いた。メインステージで表彰式があり、賞状と賞金3万円が贈られた。