罪人が伝えた歴史にも注目 伊豆諸島の気候が造る「東京島酒」、地域ブランド認定で商機
認知を高めるため、各島の蔵が団結し、固有の歴史や独自性をアピール。そのかいあって今年3月には、品質や特性などが認められ、輸出促進を目的に国税庁が選定するGIに指定された。日本の焼酎でGIが認められたのは約18年ぶり。
■フランスでも販売
9月11日の試飲会には、伊豆諸島の蔵元7社が一堂に会し、飲食店関係者ら約200人が参加した。
横浜市の酒販売店で働く男性(36)は「香りがはっきりしていて、後味の余韻も長い」と話す。
島の蔵元の一部は現在、海外での本格展開も見据える。GIは特にヨーロッパで浸透しており、輸出を後押しすることも期待できるからだ。
東京島酒の銘柄のひとつ「情け嶋」はフランスやオランダ、台湾などで販売されている。
情け嶋の蔵元でGI東京島酒管理委員会に所属する小宮山善友さん(49)は「少しずつではあるが手応えを感じている」と話している。(久原昂也)
◆地理的表示(GI)制度 特別な生産方法や歴史のある農林水産物などを、産地名を冠した地域ブランドとして保護する制度。世界貿易機関(WTO)の加盟国には、ぶどう酒と蒸留酒について地理的表示の保護が求められている。日本の焼酎については平成7年に壱岐(長崎)、球磨(熊本)、琉球(沖縄)の泡盛が蒸留酒のGIとして初めて指定され、17年に薩摩(鹿児島)の焼酎が加わった。