「住友化学5000万円」「5大商社2800万円ずつ」 自民党の大スポンサー「経団連」の驚くべき政治献金事情
企業・団体献金をめぐって、与野党間での議論がヒートアップしている。「禁止すべき」という声に対して、自民党が一向に応じる姿勢を見せないのはなぜなのか。先月29日に公表された自民党の政治資金団体の収支報告書の中身を確認してみると、やはり経団連加盟企業の名がずらり……。現在の経団連トップ・十倉雅和氏の出身企業である住友化学にいたっては、深刻な業績不振に陥っていながらも単独企業として最多の献金を行っているだけに、不自然さが際立つのだ。最新の収支報告書の中身から見えた、経団連と自民党のいびつな「カネ」の結びつきとは。 住友化学が5000万円寄付したと記載されている収支報告書の中身(2024年11月29日公開) ***
“政治とカネ”問題をめぐる一連の政治改革。与野党でなかなか合意に至らない一つが、企業・団体献金の扱いだ。野党側からは「禁止すべき」との声が高まり、9日には「企業・団体献金禁止法案」が立憲民主党から提出された。一方、自民党は「禁止ではなく透明性を高めるべき」との姿勢を崩していない。12日から衆院政治改革特別委員会で政治資金規正法の再改正案などが審議されているが、いまだ与野党間の折り合いは見通せない状況だ。 なぜ自民党はここまで企業献金にこだわるのか。忘れてはいけないのが、あの“大スポンサー”の存在である。 「経団連からの“呼びかけ”に応じて加盟企業が行う自民党への企業献金は、毎年24億円もの額になっています。その一方で、経団連は『政策提言』として、法人税の引き下げや産業界への支援など、加盟企業に利するような政策を自民党に訴えかけてきた。提言がそのまま丸呑みされているとまでは言いませんが、現にそれらが政策として実現している以上、経団連の意向は少なからず政治に反映されているわけです」(経団連を取材する記者)
大赤字の住友化学も……
経団連としては「“社会的責務”として献金の重要性を説明しているだけ」「献金をするかどうかはあくまでも各社の自由意思」というスタンスを崩していない。しかし、例年自民党に対して献金を行っている企業の顔ぶれを見てみると、その言葉通りには受け止めがたい実態が浮かび上がる。 先月29日に公表された自民党の政治資金団体『国民政治協会』の収支報告書(2023年版)を見てみよう。 日本自動車工業会など、業界団体の高額寄付に続いて目につくのが、単独企業としては最多の5000万円を寄付している住友化学とトヨタ自動車だ。言わずと知れた歴代の経団連会長出身企業であり、同様に日立製作所が3500万円、日本製鉄が3200万円などと、軒並み高額寄付を行っている。 「外部への寄付や会費など、経団連として加盟企業に対して金銭的負担を求める場合、やはり会長企業が率先して多く負担するのが常道になっています。とはいえ、住友化学にいたっては、令和5年からかつてないほどの赤字に陥っていたはずなのに5000万円もの寄付をしているのですから、尋常ではないですよね」(経団連を取材するジャーナリスト) 住友化学は、昨年2月に業績予想を大幅に下方修正し、11月には24年3月期決算の最終利益が950億円の赤字になる見込みだと発表。会長、社長両氏の役員報酬を10%返上するとも述べ、さらに今年の4月には4000人規模の人員削減を行うとまで表明している。それだけの危機下にあってもなお、政治献金だけは削れないということなのか。