上方・江戸の落語聴き比べ 館山で280人が伝統話芸を堪能(千葉県)
江戸落語と上方落語のプロ2人を招いた「南房総プレミアム寄席2024」が、館山市の県南総文化ホールで開かれた。約280人が来場。東西の落語を聞き比べ、趣の違いや、熟練の話芸を堪能した。 上方落語は大阪や京都が発祥で、派手さや笑いが好まれたり、小拍子や見台を使ったりする一方、江戸落語は人情噺が好まれ、使う道具は扇子と手ぬぐいのみなど、趣やスタイルが異なる。伝統話芸の公演や教室を通して、地域活性化に取り組んでいる市民団体「南房総三龍亭」が、聞き比べを通して落語の奥深さに触れてもらおうと主催した。 寄席では、上方落語で林家竹丸さん、江戸落語で故・三遊亭圓窓さんの三男である三遊亭窓輝さんが交互に高座に上がり、熟練の話芸を披露した。
幕開けを飾った竹丸さんの「時うどん」は、江戸落語の有名な演目「時そば」の基となった噺(はなし)で、時そばよりも笑いどころの豊富な筋書きと芝居に、会場には繰り返し笑い声が響いた。東西で親しまれる「釜泥」、中トリは上方落語の代表的な「花筏」(はないかだ)と続き、大トリは江戸落語の花形、人情話の傑作「子は鎹(かすがい)」で締めくくられた。 前座では、三龍亭のメンバーの下で腕を磨いている安房地域の小学6年生3人がキッズ落語を堂々と披露。竹丸さんと窓輝さんからの講評もあった。 市内の60代女性は「プロはリズム感が気持ちよくて、お芝居も引き込まれるし、さすが。二つの落語の違いが感じられて興味深かったです」と話していた。 今回の寄席は、なるべく多くの地域の子どもたちに伝統話芸に触れてもらおうと、高校生以下は木戸銭無料とした。主催の呼び掛けに応え、主旨に賛同した地域の40の個人、団体が協賛金を寄せた。地域の児童生徒25人が、無料で鑑賞した。