給食費値上げの動き 「揚げパン」減らしクリスマスケーキ見送りも検討 交付金終了、食材費高騰に対応できず
長野県諏訪地域で小中学校の給食費の値上げや値上げを検討する動きが出ている。下諏訪町は来年度、給食費を値上げするのに伴い、1食当たりの保護者負担を小学校で20円、中学校で35円を増額する方針を決めた。富士見町は昨年度値上げを実施。原村も値上げを検討しており、両町村は保護者負担を増やさないよう独自補助も視野に入れる。食材費の高騰が主な理由。岡谷、諏訪、茅野の3市は値上げするかどうか検討している。
■国の交付金終了見通し、食材費高騰に対応できず
下諏訪町は10月の町小中学校給食審議会で給食費の値上げを承認し、今月6日に小中学校の保護者に通知。町教育委員会によると、値上げすれば保護者負担は小学校で1食当たり310円に、中学校は365円になる。値上げは2015年以来9年ぶり。 諏訪地域の市町村はこれまで国の地方創生臨時交付金を活用し、保護者負担の増額を抑えてきた。下諏訪町の場合、小学校で20円、中学校で25円を補助してきたが、食材費の高騰は続く一方、交付金が本年度で終了する見通しで値上げ方針に踏み切った。 どの自治体も、価格の安い食材に切り替える、大量購入による価格抑制といった対策をしている。ただ、値上げの背景には、国の交付金が終了し、食材の工夫や購入方法の変更だけでは食材費の高騰に対応できなくなっていることがあるとみられる。 富士見町は昨年度、給食費の値上げを実施。値上げ分の小学校15円、中学校30円については、国の交付金を活用し保護者の負担増を抑えた。交付金の終了に合わせ、町教委は「保護者負担を増やさないよう町で負担する方針」(子ども課)とする。 原村も給食費の値上げを検討しており、今月下旬の学校給食委員会で審議する。食材費の高騰などが理由で、値上げ幅は未定だが、既に値上げ方針を決めた下諏訪町と同程度になる見込み。保護者負担を抑えるよう、村独自の補助も検討している。 一方、町村に比べて児童生徒数が多い岡谷、諏訪、茅野の3市は方針が固まっていないという。 9月の市長選で給食費無償化を掲げた早出一真市長が当選した岡谷市。市長は「値上げは子育て世帯の負担軽減に逆行すると考えている。どう対応するか庁内でしっかり検討する」としている。諏訪市は「内部で検討している」、茅野市は年内に結論を出すよう「検討中」とする。