ファンタジーの庭園で幻想的なハイキング体験【ブーツの国の街角で/イタリア・ラツィオ州】
■絶滅の危機にある生物や植物を厳格に保護した楽園
小鳥の囀りを聴きながら、幻想的な景色が続く庭園内を進んで行くと、息を呑むように美しい風景に出くわした。目の前に現れたのは、世界中の芸術家たちにインスピレーションを与えて来たというニンファの庭園のシンボル「二つの光の橋」。太陽の光線の角度によって透明な水の色か様々に変化し、周囲と水底の植物とともに幻想的なシーンを作り出している。 このニンファの庭園を幻想的な空間にしている最も重要な要素てあるこの透き通った水は、ニンファ川の源泉から庭園内を巡回するように流れている。園内にある源泉は外部から触れることができないようきっちりと遮断され、厳重に管理することで高い水質を保っているという。 こうした努力のお陰で、今ては絶滅の危機に瀕している貴重な魚類かこの川て命を繋いている。特に「ニンファのマス」 とも呼はれるマクロスティクマ・トラウトは、イタリアのみならすEUにおいても非常に重要な絶滅危機種の魚てあり、その種を維持するためにもニンファ川の唯一無二の水質は絶対に守っていかなけれはならない最重要項目なのだそうだ。 園内ては世界各地の珍しい植物、高水質の川やそこに生息する魚類たけてなく、この地に自然と集まってきた鳥類や昆虫類などもまた貴重な自然遺産として保護されている。鳥類はカモやアオサキをはしめとする100種類以上か確認されていて、この庭園はアフリカから欧州に飛来する渡り鳥たちの重要な拠点となっている。そのため、WWFは1976年にニンファの庭園を含む一帯を整備し、保護区に定めた。庭園内てはてんとう虫や蝶、トンホなとの昆虫類もこうした生態系のハランスを保つ重要な要素として大切に保護している。地上の楽園のような幻想的な庭園を歩くこと約2時間。たった2時間しか経っていないとは思えないような、濃厚な別世界の時空体験を満喫することができた。 文・写真/田島麻美 田島 麻美(たじま あさみ) ローマ在住フリーライター。撮影コーディネイター、通訳・翻訳者。国立ローマ・トレ大学マスターコースにて宗教社会学のディプロマ取得。
田島 麻美