阪神、守乱と隠れエラーの逆転負けに金本監督「もういいでしょ」とあきれた
そして守乱の極めつけが8回である。無死一塁からバントを仕掛けてきた武内の打席で梅野がパスボール。二塁へ走者を進めると、今度はカウントを追い込んだ後にヒッティングに変わり、ファウルとなった際にミットが触れて痛恨の打撃妨害である。 「動くと思って前に出てしまった」と、梅野は試合後に悔やんだが、とんでもないボーンヘッドだ。 パスボールは、確かにバントをしようとした竹内のバットに掠ったファウルのようにも見えた。微妙な判定で梅野のパスボールを責めるのは酷かもしれないが、その後の打撃妨害はいただけない。打率.152でも、守備力に免じて使ってもらっているのだから、その守備で足を引っ張ってしまえば、我慢して梅野を使う意味はなくなってしまう。 結局、中村にバントで送られ、移籍初登板となった柳瀬は、流れを止められずに谷内にダメ押しタイムリーを許すことになった。 試合後、金本監督は、「(ヤクルト先発のブキャナンは)いい投手。あと1本が出なかった。それも野球」と語った後、守備の乱れについて聞かれ「もういいでしょう。それは」と、あきれたように多くを語らなかった。25試合で25失策。もちろん、12球団ワースト。記録に残る失策以外に、どれくらいのエラーがあるかを振り返ってみて、嫌になったという話を前日に、金本監督はしていたらしい。 すべては、2月のキャンプの1か月の準備不足に起因することだが、今さら過ぎ去ったことをうだうだ言っても仕方がない(現場の責任だけでなく、それらを見過ごしてきたフロントの責任も大きい)。 広島、中日のコーチ時代に守備走塁に関して徹底して鍛えあげて結果を残してきた実績があり、そのメソッドを熟知している高代ヘッドが、リーダーシップをとりシーズン途中という物理的制限のある中で、なんらかの守備整備の手立てを考えて、練習メニューを工夫していくしかないだろう。 ロッテは、打てない打線に業を煮やした伊東監督が、連日、本拠地では試合後に室内練習場で打ち込みを敢行した。それでも結果は出ていないが、阪神も、ここから。守備については、キャンプのやり直しくらいの取り組みが必要なのかもしれない。 最後に。1-1で迎えた7回一死からベンチは秋山をそのまま打席に立たせた。秋山に勝ちをつけさせたい。6連戦の頭で中継ぎピッチャーを使いたくない、しかも、まだ秋山の球数も非常に少なかった。続投の理由は十分に理解できるが、試合の流れを変えるという勝負論から見れば、代打策を打つベンチワークがあってもよかったのではないか。あくまでも結果論だが、その裏、秋山は勝ち越し点を失っている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)