「私はまだこの場所を諦めたくない」111年の自治の歴史『京都大学・吉田寮』訴訟あす判決 耐震性を理由に立ち退き求める大学側 対話を求める寮生側
2019年には「要求に応じなかった学生たちが寮を不法占拠している」などとして大学側が立ち退きを求め、現棟に住んでいた学生たちを提訴した。 (京都大学 川添信介副学長 2019年当時)「安全性の確保のために、この手段が望ましいと判断したということになります」
11年前から吉田寮に住む大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の博士課程2年生・高橋歩唯さんも被告の一人となった。 (博士課程2年生 高橋歩唯さん)「郵便として裁判所から訴状が、分厚い訴状が届いて知るという流れだった」 研究費用を工面するために授業の合間を縫ってアルバイトに励む一方、吉田寮での生活は心の拠り所にもなっていた。提訴されてからは裁判があり授業に行けなくなったこともあったという。 (博士課程2年生 高橋歩唯さん)「話し合いを拒否していた側が、まして大学と学生という力関係のある中で学生を訴えるっていうことは、解決を目指すっていうよりも学生に対して懲罰を行いたい、処罰的な心情でやっているんじゃないかなと。情けないというか、おかしい。あり得ない」
寮生側は「建物を補修しながら継続的に居住できる」とした上で「戦前から受け継がれてきた寮自治という他には得難い営みそのものを守るべきだ」と主張。大学側には裁判ではなく話し合いを再開するよう強く求めている。 一方、大学側は取材に対して「係争中のためコメントは差し控える」と回答。裁判資料によりますと「代わりの宿舎を提供するため大学周辺への居住は可能」として退去を求めた。
「私はまだこの場所を諦めたくない」
本来学ぶ場所であるはずの大学で寮生として提訴された学生たち。求めるのはこれまでと変わらない自由と対話だと話す。
(博士課程2年生 高橋歩唯さん)「(Q転居する選択肢もある中で住み続ける理由とは?)私はまだこの場所を諦めたくないからですかね。どのような判決が出たにしても、吉田寮自治会と京都大学当局が、吉田寮のあり方について当事者間で話し合いをするフェーズは絶対に不可欠なので、まずはそれに応じてほしい」 注目の判決は2月16日に京都地裁で言い渡される。 (2024年2月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)