「パルクローゼット」、レコメンド機能で顧客体験向上へ 堀田氏「トップページで表示、より高い成果に」
「CIAOPANIC(チャオパニック)」や「3COINS(スリーコインズ)」などのブランドを展開する、パルグループホールディングスは、運営する公式ファッションサイト「パルクローゼット」によるEC事業が好調だ。2024年3-8月期(中間期)の「パルクローゼット」における売上高は前年同期比18.4%増の109億500万円だった。EC部門の増収が全体の成長をけん引している。 自社ECの増収に貢献しているのが、販売員をはじめとするスタッフが発信するSNSの運用だ。店舗の販売員やSNS担当スタッフなど約1800人がSNSアカウントで情報発信を日々行っている。全アカウントを合計したフォロワー総数は約1800万人にのぼる。1人で30万人のフォロワーを抱えている自社スタッフもいるという。 スタッフが発信した投稿は全てデータ化し、反応の良かった商品については集中的に発信を行い、効果的なプロモーションにつなげている。蓄積したSNS運用のノウハウは社内で共有している。 店舗への来店客には、ポイントが付与されるアプリのダウンロードを促す。これにより8月末時点でアプリ会員数は1054万人を突破。EC売上全体の6割に達している。アプリを開けば1日につき1ポイントを還元する施策を打ち出し、2回目以降の購入を中心としたLTVの引き上げに貢献している。 <「アイジェント・レコメンダー」を導入> 「パルクローゼット」は、シルバーエッグ・テクノロジーが提供するAI技術を用いたリアルタイム・レコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」を2016年、ECサイトをリニューアルするタイミングで導入した。 最近は「パルクローゼット」で取り扱うブランドが増えてきたことやユーザーの買い回りが増えてきたため、ECサイトのトップページや商品詳細ページ、カートの表示内で行う「アイジェント・レコメンダー」によるレコメンド機能で、「お客さまに商品を探してもらうことにハードルが上がったため、トップページ内に表示をすることでより高い成果につながっている」(取締役専務執行役員 堀田覚氏)と話す。 スタッフのコーディネートやブログなどを表示することで、よりパーソナライズしたレコメンドを実現している。ユーザーは何万通りものコーディネートを探せないため、レコメンドを表示して顧客体験の向上にもつながっている。 「アイジェント・レコメンダー」で、週1回、定期的に提示されるレポートに沿って、パル社側から要望を伝えるだけで「レコメンドに関するロジックに入ることはなく、AIが判断するためほとんど手間がかからない」(堀田氏)と話す。自社で専属のエンジニアを抱えて運用する必要がなくレコメンド機能を運用することができている。 【「アイジェント・レコメンダー」サービス概要】 独自に開発したAIアルゴリズムを搭載した、リアルタイム・レコメンドサービス。予測精度と処理速度の両面を担保した機械学習エンジンにより、サイトのアクセスや購買状況、各ユーザーの動線を「リアルタイム」に把握・分析し、一人一人の好みに合ったおすすめの商品を、瞬時に表示する。 顧客企業は、利用場面に応じて最適な技術を容易に選択・導入することができ、ABテストによる効果検証も可能。また、多機能な管理画面やレポーティングサービスにより費用対効果の検証を行い、売上増大に向けた対策などを、専任コンサルタントが継続的にサポートする。
日本ネット経済新聞